PayPalが100種類以上の仮想通貨に対応した「Pay with Crypto」を開始

PayPalのロゴと複数の仮想通貨コインが描かれたデジタルイラスト

米国加盟店が100種類以上の仮想通貨を受け入れ可能に

ペイパル(PayPal)は、新たな決済機能「Pay with Crypto(仮想通貨支払い)」の提供を開始した。

これにより、米国の加盟店は100種類以上の仮想通貨での支払いを受け付けることが可能になる。このサービスは、仮想通貨決済の普及に向けた大きな前進として注目されている。

「Pay with Crypto」は、PayPalの既存決済ネットワークと統合されており、主要仮想通貨であるビットコイン(Bitcoin/BTC)、イーサリアム(Ethereum/ETH)、ライトコイン(Litecoin/LTC)のほか、テザー(Tether/TSDT)、USDコイン(USDCoin/USDC)など100種類以上のトークンに対応している。

また、トランプ大統領に関連したミームコインや、ノベルティコイン「ファートコイン」といったユニークなトークンも含まれる。

支払いは、コインベース(Coinbase)やユニスワップ(Uniswap)などのウォレットと連携し、チェックアウト時に即座にステーブルコインまたは法定通貨へ自動変換されるため、価格変動リスクを回避できる。

この決済ツールは、Coinbase Wallet、MetaMask、OKX、Kraken、Binance、Phantom、Exodusなどの主要ウォレットと広く連携しており、スムーズな取引処理を可能にしている。

ペイパルは、この機能を通じて仮想通貨の商業利用を促進し、日常的な決済手段としての普及を目指している。

手数料の抑制と中小企業支援

初年度の取引手数料は0.99%に設定されており、2年目からは1.5%へ引き上げられる予定で、これはクレジットカードの平均手数料(1.57%)よりも低く、導入のハードルを下げる効果がある。

ペイパルは、一般的なクレジットカード決済よりも最大90%の手数料削減が可能であるとし、特に中小企業にとって越境取引の障壁を下げる有効な手段であると説明している。

グローバル展開と包括的なサポート体制

ペイパルは、「Pay with Crypto」を通じて国際決済にも対応し、迅速かつ低コストな支払い手段を提供しており、手数料は最大90%削減され、ほぼ即時の処理が可能だ。

アレックス・クリス(Alex Chriss)CEO(最高経営責任者)は、企業が抱えるコストや統合の複雑さを軽減し、グローバルなビジネス展開を支援する意向を示している。

多様なパートナーシップと技術的優位性

同社は先述のとおり、多用なウォレットとの連携を進めている。これにより、世界中の6億5,000万人を超える仮想通貨ユーザーとの接点を強化している。

顧客のウォレット種類に応じて、中央集権型または分散型取引所を経由し、ステーブルコイン「PYUSD」に変換されたのち、法定通貨に換金される。このプロセスにより、国際送金の時間とコストが大幅に削減される。PYUSDは、Paxosが発行する規制対象のステーブルコインで、2025年初頭の時価総額は8億9,400万ドル(約1,327億円)とされている。

また、VenmoやFiservとの提携を通じて、ペイパルは加盟店の業務効率化とコスト削減を支援している。

政策環境の変化と競争環境

米国で「GENIUS法」が施行され、ステーブルコインに関する明確な規制枠組みが整ったことで、企業による仮想通貨決済の導入が進んでいる。

ペイパルは2020年に仮想通貨取引を開始し、市場停滞期を経て現在は再び積極姿勢を示している。競合の動きとしては、Stripeが70カ国以上でUSDC決済を展開し、コインベースはx402プロトコルで商取引ソリューションを強化。ペイパルはウォレット連携から法定通貨変換までを網羅する点で、包括的な決済プラットフォームとして際立っている。なお、ペイパルは現在、米国(ニューヨーク州を除く)の加盟店にサービスを提供しており、今後は大企業や国際展開も見据えている。

 

ABOUTこの記事をかいた人

2022年1月から仮想通貨を触り始め、みるみるうちにNFTにのめり込んでいった。 現在はWeb3とECの二刀流で生計を立てている 得意なのは喋る事、好きな食べ物はカレー、好きなゲームは格闘ゲーム