テザー、アデコアグロと提携しブラジルで再生可能エネルギーによるビットコインマイニングを展開

ブラジル国旗とビットコインマイニングマシンの並び

テザー、ブラジルで持続可能なマイニング事業を始動

ステーブルコイン「USDT」の発行元であるテザー・ホールディングスは、南米の農業・エネルギー企業アデコアグロ(Adecoagro S.A.)と、ブラジルにおけるビットコインマイニング事業に関する覚書(MoU)を締結した。

日本語訳:
TetherとAdecoagro、ブラジルで再生可能エネルギーによるビットコインマイニングを開始

両社は再生可能エネルギーと仮想通貨の専門性を活かし、パイロットプロジェクトを通じて新たなインフラの構築に取り組む。

アデコアグロは、アルゼンチン、ブラジル、ウルグアイで事業を展開するNASDAQ上場企業であり、230MW(メガワット)超の再生可能エネルギー発電能力を保有する。同社は余剰電力の活用策としてビットコインマイニングに注目し、農業・エネルギー・ブロックチェーン技術の融合を図っている。このプロジェクトでは、テザーのマイニング管理ソフトウェア「Tether Mining OS」を使用。このソフトウェアは数カ月以内にオープンソース化される予定で、アデコアグロのエネルギー技術とテザーの仮想通貨分野での経験が統合される。

テザーは5月にアデコアグロの株式70%を取得し、持続可能なエネルギーとデジタルインフラの連携に注力。アデコアグロの取締役会会長を務めるフアン・サルトリ(Juan Sartori)氏は、テザーのビジネスイニシアチブ責任者も兼任しており、この提携は関連当事者間取引として同社の独立委員会により承認された。

アデコアグロは、土地と同様にビットコインを長期的な価値の保存手段と位置づけ、価格変動の激しい電力市場における安定収益の確保を目指している。

経営陣の見解とプロジェクトの実装

アデコアグロのマリアーノ・ボッシュ(Mariano Bosch)CEO(最高経営責任者)は、「再生可能エネルギー資産の価値を最大化する革新的な方法を模索できることに興奮している」と述べ、エネルギー価格の安定とビットコインによる資産形成の両立に期待を寄せている。

また、テザーのパオロ・アルドイーノ(Paolo Ardoino)CEOは、農業インフラとデジタル資産の融合によって責任あるイノベーションが実現できると強調したうえで、次のように述べている。

この提携は、再生可能エネルギーを活用したビットコインマイニングの取り組みをさらに前進させるものだ


プロジェクト規模と運用体制

プロジェクトでは、数千台のAntminer S19 XPなどのASICマシンを導入する予定だ。

各マシンの消費電力は約3,000ワット。発電容量230MWを活用することで、6.9エクサハッシュ/秒(EH/s)のハッシュレートを実現できる見込みであり、これはビットコインネットワーク全体の約1.6%に相当する。

現在のマイニング難易度と半減期後の報酬(3.125BTC)に基づくと、2~3日に1回の頻度でブロック報酬の取得が可能とされている。再生可能エネルギーとの組み合わせによって、世界有数の大規模マイニング施設となる可能性がある。

テザーは2025年末までに世界最大のビットコインマイナーを目指しており、現時点で10万BTC(評価額約100億ドル)を保有している。

今後の展望と地域的広がり

両社はブラジル国内での展開にとどまらず、再生可能エネルギーの潜在力が高い南半球諸国にもスキームを拡大する構えだ。

Tether Mining OSのオープンソース化により、他地域への応用や連携モデルの構築も見込まれている。なお、同プロジェクトは、農業・エネルギー・デジタル経済の交差点に立つ実証例として、環境配慮と収益性を両立する持続可能なビジネスモデルの形成を促進する取り組みとなる。

 

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2022年1月から仮想通貨を触り始め、みるみるうちにNFTにのめり込んでいった。 現在はWeb3とECの二刀流で生計を立てている 得意なのは喋る事、好きな食べ物はカレー、好きなゲームは格闘ゲーム