裁判所、リップル社とSECの和解案を正式に却下

米国地方裁判所のエンブレムを背景にしたリップル(XRP)の金色コイン

XRP訴訟での罰金減額と差し止め命令解除は認められず

SEC(米証券取引委員会)とリップル(Ripple)社が共同で申し立てた1億2,500万ドル(約180億円)の罰金減額および、機関投資家へのXRP販売に対する差し止め命令の解除は、連邦裁判所によって却下された。

これにより、リップル社は引き続き厳格な法的規制の下に置かれることになる。

和解案を退けた裁判所の判断

ニューヨーク南部地区のアナリサ・トーレス(Analisa Torres)判事は、SECとリップル社の共同申し立てについて、最終判決の変更に必要な法的根拠が示されていないとし、退けた。

両当事者は、罰金を60%削減し、恒久的差し止め命令を取り消すことが公共の利益に資すると主張していたが、判事は「状況は何も変わっていない」と指摘した。この訴訟は、リップル社によるXRPトークンの販売をめぐるもので、2023年7月の判決では、一般投資家向けの販売は証券に該当しない一方で、機関投資家への販売は証券法違反にあたるとされた。SECはこれを根拠に、当初20億ドル(※本日レートで約2,890億円)の罰金を求めていたが、2024年8月に最終的に1億2,500万ドル(約180億円)の民事罰金が命じられた。

その後、リップル社とSECは罰金を5,000万ドル(約72億円)に減額し、残りの7,500万ドル(約108億円)をリップル社に返還する和解案を裁判所に提出。さらに、恒久的差し止め命令の解除も求めたが、いずれも却下された。

控訴手続きを促す判事の姿勢

トーレス判事は、最終判決の変更には「公益または司法の執行を上回る例外的な状況」が必要であると述べた上で、今回の申し立てはその基準を満たしていないと判断。

SECの方針変更や仮想通貨タスクフォースの設置なども、法的に意味を持たないと明確に否定。SECとリップル社は、他の仮想通貨関連訴訟での訴訟取り下げ事例を挙げたが、判事はそれらが最終判決前に取り下げられたものである点を挙げ、「比較対象にならない」と退けており、判決文には以下のように記されている。

差し止め命令や民事罰が適用された事例は含まれていない。SECが連邦証券法違反を裁判所に認定される前に訴訟を終結させたケースとは異なる

今後の展開と業界への影響

今回の判断により、SECとリップル社が訴訟を終結させるには、係属中の控訴を正式に取り下げるか、控訴審手続きを通じて判決を争うしか道がないことが明確になった。

トーレス判事は、「罰金の取り消しは、証券法の順守を検討している他企業に誤ったメッセージを与える」との懸念も示している。リップル社のブラッド・ガーリングハウス(Brad Garlinghouse)CEO(最高経営責任者)は、2024年3月にSECが本件に関する控訴を取り下げたとした上で、「業界全体にとっての勝利」と表現していたが、今回の判断によりその見通しは大きく後退した。

この動きは、仮想通貨業界全体にとっても前例となる可能性があり、今後の規制や訴訟対応に影響を与えることが予想される。

 

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2022年1月から仮想通貨を触り始め、みるみるうちにNFTにのめり込んでいった。 現在はWeb3とECの二刀流で生計を立てている 得意なのは喋る事、好きな食べ物はカレー、好きなゲームは格闘ゲーム