コインベース、アカウント凍結を82%削減も信頼回復には課題残る

コインベースのスマホ画面を操作するユーザーの手元

凍結削減の成果を発表、ユーザーの不満に対応

米国の大手仮想通貨取引所コインベース(Coinbase)は、アカウント凍結に関する苦情の多発を受け、ユーザー体験の改善に本格的に乗り出し、不要なアカウント凍結を82%削減したことを明らかにした。

CEO(最高経営責任者)のブライアン・アームストロング(Brian Armstrong)氏はXへの投稿で、「不要なアカウント制限を減らすために、社内チームが素晴らしい働きをしてくれた」と述べた。従来、コインベースではアカウントが予告なく凍結され、サポート対応にも長時間を要することから、SNS上ではユーザーからの不満が相次いでいた。

改善の背景と残された課題

今回の成果は、社内のプロセス改善と技術的アップデートに加え、新たにプロダクトチームへ加わったドル・レヴィ(Dor Levi)氏の主導によるものだ。

アームストロング氏は、レヴィ氏が凍結問題解決のために4月に参画したことを紹介し、彼の技術的貢献を高く評価。レヴィ氏自身も「すべてのモデルの精度と再現率が向上し、その結果、制限やフリーズが減少している」と語り、機械学習モデルとインフラへの投資が今回の改善につながったと述べた。

ただしレヴィ氏は、現状のアカウント制限に関する体験はまだ自分の基準を満たしていないとし、さらなる改善の必要性を認めている。コインベースとしても、裁判所命令や制裁措置など法的根拠に基づく制限については引き続き実施していく方針だ。

ユーザーの声と今後の信頼構築

中には「2年以上アカウントにアクセスできなかった」「8カ月間凍結されたまま利用を諦めた」といった深刻な声も見られる。

また、「カスタマーサポートと話すのが非常に難しく、担当者とつながるまでに多くの時間がかかる」といった指摘もあり、依然としてサポート体制に対する不満が残っている。

一方でアームストロング氏は、「進捗(しんちょく)には満足しているが、課題はまだ残っている」と述べ、今後も継続的な取り組みを進めていく考えを示した。特にレヴィ氏とそのチームへの謝意を明確にし、今後もユーザー向けに変更内容を発信していくと強調している。

信頼回復には継続的な取り組みが不可欠

82%の削減という結果は、間違いなく大きな前進ではあるが、長期的に積み上がったユーザーの不信感を完全に払拭(ふっしょく)するには至っていない。

カスタマーサポートの対応や情報伝達の不透明さに対する不満も根強く残っており、信頼回復には時間と誠実な対応が求められる。コインベースは今後、透明性のある情報公開とユーザーとの対話を重視しながら、技術とサポート体制の両面で改善を進める必要がある。今回のケースは、機械学習やインフラ改善など技術的対応だけでなく、ユーザー体験そのものを見直す姿勢が問われていることを示している。

 

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2022年1月から仮想通貨を触り始め、みるみるうちにNFTにのめり込んでいった。 現在はWeb3とECの二刀流で生計を立てている 得意なのは喋る事、好きな食べ物はカレー、好きなゲームは格闘ゲーム