インドとインドネシアで仮想通貨詐欺が急増
3,000万超のユーザーを抱える大手仮想通貨取引所MEXCは、詐欺が200%増加し、インドとインドネシアが主要なホットスポットとなっていることを明らかにした。
MEXC仮想通貨取引所は、2025年第1四半期に詐欺取引が200%も急増したと報告。同社は、3,000以上のシンジケートに関連する80,000件以上の組織的詐欺行為を発見しており、これらの詐欺行為には、市場操作、ウォッシュトレーディング、略奪的取引ボットの使用といった戦術が用いられているという。
新興市場で仮想通貨の普及が進むにつれ、金融詐欺に関連するリスクも高まっている現在、金融リテラシーの低さは、米国のような規制の厳しい市場でさえ、仮想通貨詐欺の被害に遭いやすい要因となっているのが仮想通貨市場だ。インドでは約2万7千件の不審アカウントが報告され、インドネシアでは詐欺件数が1,303%増加し、5,603件に達する衝撃的な数字を明らかにした。
インドとインドネシアがトップ
注目点は、インドが約27,000件の不審なアカウントにフラグ付けされ、続いて、CIS(Commonwealth of Independent States:独立国家共同体)地域(※1)とインドネシアでも大きな動きがあった。
ベラルーシのミンスクに本部を置き、アゼルバイジャン、アルメニア、ウズベキスタン、カザフスタン、キルギス、ジョージア(旧、グルジア)、タジキスタン、トルクメニスタン、ベラル-シ、モルドバ、ロシアが加盟する独立国家共同体のこと
インドは取引量でトップであったが、インドネシアは最も急激な急増を経験し、前四半期と比較して不審な行動が1,303%もの驚くべき増加を記録しており、MEXCのトレイシー・ジン(Tracy Jin)COO(Chief Operating Officer:最高執行責任者)である氏は、次のように述べている。
2021年はDeFi(分散型金融)エクスプロイトが目立った年でしたが、2025年はソーシャルエンジニアリングによる市場操作がますます顕著になるでしょう。ユーザーを欺くための組織的な取り組みと思われる、いわゆる『教育的』取引グループが増加していることを確認しています。この傾向は、特に説得力はあるものの有害な情報に影響を受けやすい若い投資家にとって、ユーザー教育と積極的な保護の重要性を浮き彫りにしています。
取引詐欺の増加の原因とは
仮想通貨市場における詐欺の増加は、ユーザーの金融意識の欠如に深く結びついており、インドなどの地域では、ユーザーの利用が加速するにつれて、プラットフォームの利用と金融リテラシーのギャップが拡大している。
インドの成人のうち、基本的な金融リテラシーを持つのは27%にとどまっており、世界平均の42%を大きく下回っているのが現状だ。また、ミレニアル世代(※1981年〜1990年代なかばごろまでに生まれた世代)では、この差はさらに顕著で、金融知識への自信が実際の理解を上回っていることが多く、リテラシー基準を満たしているのはわずか19%のみだ。
MEXCによる今回の報告は、業界全体の課題を浮き彫りにしており、仮想通貨がよりアクセスしやすくなるにつれて、ユーザーを不正利用から保護することがより困難になる事が如実に表れている。