コインベースCEOが新サービスに対してSECが圧力を受けたと明かす

SECがコインベースの新サービスに対して圧力か

米国の大手仮想通貨取引所コインベース(Coinbase)のブライアン・アームストロング(Brian Armstrong)CEO(最高経営責任者)が、SECからコインベースを訴えると脅迫されたことを明らかにした。

SEC(米国証券取引委員会)は、コインベースが証券と見なす仮想通貨利回りプログラム「Lend」をめぐり、同取引所を訴えると脅迫し、SECは、なぜそれがセキュリティだと思うのかを私たちに話すことを拒否し、代わりに「Wells Notice(ウェルズ通知)」を発行し、私たちからの大量の記録を召喚すると述べたと語った。なお、利回りプログラムLendは提供を開始していない今後展開する予定の新サービスである。



評価した事実だけを共有するSEC

アームストロングCEOは、コインベースが今年初めにUSDCステーブルコインの預金に対して年利4%のリターンを提供することを目的とした今後のCoinbaseLendプログラムについてSECに説明した事を明かした。

これに対してSEC側は貸付プログラムは説明のないセキュリティとの見解を提示し、サービスが開始された場合は訴訟を起こすと脅迫したと同CEOは明らかにした。SECの主張に対してづCEOは、現在すでに顧客に対して同様の貸付サービスを提供しているBlockFiCelsiusなどのサービスが市場にあると指摘したうえでSECに対し、規制の明確化を提供するよう求めた。8日に公開されたブログの中で、コインベースのポール・グレワル(Paul Grewal)CLO(最高法務責任者)は、SECの行動に失望を表明し、次のように語っている。

顧客はプログラムに「投資」するのではなく、既存の関係に関連してコインベースのプラットフォームで保持しているUSDCを貸し出します。また、Lendの顧客はプログラムへの参加から利息を得ることができますが、Coinbaseのより広範な事業活動に関係なく、この利息を支払う義務があります。彼らは、Howey andRevesと呼ばれる数十年前の最高裁判所の訴訟のプリズムを通して私たちのLend製品を評価していると私たちに言っただけです。SECは評価自体を共有するのではなく、評価を行ったという事実だけを共有します。

グレワルCLOは、これまで半年に渡る貸し出しに関するSECと同取引所間の議論に触れ、製品発表の計画は6月に具体化し、SECはそれ以来、コインベースが製品を進めるのを阻止しようとしていると述べた。Lendは、初めて一般公開された際、高金利の製品として提案され、従来の有利子口座で見られるFDIC保険の代わりとして「安心」保証を提供することを約束し、USDCステーブルコインにのみ適用されていたという。しかし、製品の提供に対するSECの懸念が明確になっていない事から、アームストロングCEOは、「最後の手段」として法廷でSECと戦うことを選択する可能性に触れている。

ゲンスラー議長の声明と矛盾した行動を見せるSEC

SECのゲイリー・ゲンスラー(Gary Gensler)議長は、仮想通貨企業がSECと協力して公的な枠組みの下で運営し、存続を確保できるようにすることを定期的に求めており、グレワルCLOは、SECの行動はゲンスラー議長の声明と矛盾しているとして次のように語った。

SECは繰り返し私たちの業界に「私たちと話をしてください」と求めてきました。私たちはここでそれを行いました。しかし、今日私たちが知っているのは、理由を知らずに無期限にLendを市場に出さないようにするか、訴えられる可能性があるということだけです。健全な規制関係は、説明なしに業界をそのような束縛に陥らせるべきではありません。対話は良い規制の中心です。

なお、グレワルCLOは、2021年10月まで貸付プログラムの開始を延期すると明かしている。