米国SEC、未登録仮想通貨提供でAbraを起訴=その後和解へ

米国SECが未登録仮想通貨提供でAbraを起訴

SEC(米国証券取引委員会)は、顧客に無登録のデジタル資産サービスを提供したとして、最新の取り締まりで仮想通貨会社Abra(アブラ)を起訴したことが明らかになった。

最近のプレスリリースの中で、SECは、規制当局がAbraの名前で運営されているPlutus Lending LLCを、当局に登録することなく仮想通貨ソリューションを提供したとして起訴したと発表。当局からの苦情は、仮想通貨会社の融資商品「Abra Earn(アブラ アーン)」が中心となっており、この融資商品では、米国の投資家が利払いと引き換えに仮想通貨を会社に貸せる。同社は規制機関に登録することなく、2020年7月にこのサービスの提供を開始しており、ピーク時には6億ドル(約868.8億円)の資産を管理し、そのうち5億ドル(約724億円)近くは米国のトレーダーからのものである。

リスクの高いオファーから投資家への保護

SECは、Abraがこのプログラムをトレーダーが自動的に利息を得るための方法として販売していたと主張しており、その一方で、同社は投資家の仮想通貨を自らの利益のために使用していた、と報告書は付け加えた。

さらにSECは、同社がSEC登録の免除を受けずに証券を販売したと主張しており、さらに、2年以上にわたって無登録の投資会社として営業していたことも罪状に含まれている。この間、仮想通貨会社は有価証券を発行し、総資産の40%以上を投資有価証券で支援しており、その中には機関投資家への暗号資産の貸付も含まれていたと報告している。

最新の強制措置は、仮想通貨市場を規制し、リスクの高いオファーから投資家への保護を提供するという米国SECのコミットメントを示すものであり、SEC執行部のステイシー・ボガート(Stacy Bogert)副部長は、登録法の遵守の重要性を強調。同氏は、これらの法律は市場参加者が投資判断を行う際の透明性を確保するためのものだと指摘しており、Abraの行為は投資会社法の重要な規定を遵守していなかったとコメントしている。

Abraは今後の違反を禁止する差し止め命令に同意

一方、コロンビア特別区連邦地方裁判所に提出された告発状は、1933年証券法および1940年投資会社法の主要条項に違反したとして、仮想通貨会社を告発しており、和解の一環として、Abraは今後の違反を禁止する差し止め命令に同意している。

さらに、Abraは民事罰の支払いにも同意したが、金額はまだ決定しておらず、裁判所で決定することになっており、注目すべきは、同社は以前にも無許可で営業していたとして、アメリカの25州の金融規制当局と和解。その証拠に2024年6月には、和解の一環として8,200万ドル(約118.7億円)のデジタル資産を顧客に返還することに合意。この以前の措置は、Abraとその子会社、そしてCEO(最高経営責任者)のウィリアム・バーハイト(William Barhydt)氏に対して取られたもので、同社の規制問題の歴史を浮き彫りにしている。