香港、ステーブルコイン法案を可決

香港の旗とデジタル通貨を象徴するイメージで構成された、ステーブルコイン規制法案に関するビジュアル

香港がステーブルコイン規制の枠組みを正式に整備

香港特別行政区の立法会は、法定通貨に連動するステーブルコイン「FRS」に関する包括的な規制法案を可決した。

これにより、香港内でFRSを発行する企業や、香港ドルを裏付けとするステーブルコインの発行者には、HKMA(香港金融管理局)からのライセンス取得が義務付けられる。

この法案は、金融の安定性向上と消費者保護を目的とし、仮想通貨分野でのイノベーション促進を掲げる香港の戦略の一環とされている。行政長官は、この制度を「現実的で柔軟性があり、香港のデジタル金融エコシステムの成長を支えるもの」と評価している。

ライセンス制度と施行スケジュール

可決された法案では、ステーブルコイン発行者に対し、準備資産の管理、償還手続き、リスク管理体制、顧客資産の分別管理など、多岐にわたる要件が課される。

HKMAのエディ・ユー(Eddie Yue)長官は、「堅牢で目的に適った規制環境が、ステーブルコインと広範なデジタル資産の持続的な発展を支える」と述べた。ライセンス取得が義務づけられるのは、香港でFRSを発行する企業だけでなく、香港ドルに連動させたステーブルコインを発行する事業者も含まれる。対象は機関投資家を基本とし、個人向け提供は認可事業者のみに限定される。広告に関しても規制が設けられ、認可発行者以外によるプロモーションは禁止される。

HKMAは、すでに3社を対象としたサンドボックスプログラムを実施済みであり、今回の法案はそれを制度化するかたちとなった。施行は2025年末までに予定されており、最初の6カ月間は非違反期間(移行期間)として設けられる。

制度の効果と将来の展望

金融サービス・財務長官のクリストファー・フイ(Christopher Hui)氏は、「同一の活動には同一のリスク、同一の規制」という原則のもと、ステーブルコイン市場の健全な発展と国際的な信頼性を確保する制度の構築に注力していると述べた。

また、今回の条例は、マネーロンダリング(資金洗浄)対策、テロ資金供与対策、開示・監査体制、リスク管理に関する幅広い要件を含んでおり、発行者の信頼性と透明性を確保する設計となっている。条例により、FRSの償還義務についても明文化され、保有者が額面価格で償還を求めた際には合理的な条件で処理される必要があると定められた。このような法的保護措置は、利用者保護と制度への信頼性向上に資するものとされている。

香港は今後も仮想通貨規制と産業振興のバランスを重視し、アジア圏におけるリーダーシップの確立を目指している。

 

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2022年1月から仮想通貨を触り始め、みるみるうちにNFTにのめり込んでいった。 現在はWeb3とECの二刀流で生計を立てている 得意なのは喋る事、好きな食べ物はカレー、好きなゲームは格闘ゲーム