ナイジェリア裁判所はバイナンス脱税訴訟を延期
ナイジェリアの裁判所は、バイナンス(Binance)の脱税訴訟の審理を4月30日に延期し、同国の税務当局が同社の法的防御に対応する時間を確保した。
ナイジェリアの裁判所は、FIRS(Federal Inland Revenue Service:連邦内国歳入庁)が法的異議申し立てへの対応を準備していることを受け、バイナンスの20億ドルの脱税訴訟の審理を4月30日(水曜日)まで延期した。バイナンスとナイジェリアにおける脱税訴訟は、FIRSが同社の法的提出書類に回答する事を理由に延期。現在、ナイジェリア税務当局は、同社に対して20億ドル(約2,900億円)の未払い税金と、経済的損害を理由にさらに数十億ドルの損害賠償を要求している。
この法的異議申し立ては、不適切な文書送達をめぐるもので、幹部の逮捕とバイナンスの2024年3月のナイジェリアからの撤退につながった、より広範な取り締まりの一環である。
FIRSによる巨額賠償金を要求
FIRSは、Binance Informationが税金を滞納しているとして、20億ドルの未払い額を要求したほか、同社の活動がナイジェリアに経済的損害を与えたとして、795億ドル(約11.5兆円)の損害賠償を求めている。
FIRSによると同社は、ナイジェリアで大きな経済的プレゼンスを有しており、2022年と2023年の法人税を支払うべきだったと主張。さらに、滞納税額に対して年間10%の罰金を課すことを求めている。
一方のバイナンス側は、適切な通知が行われなかったとして、この件に異議を唱えており、同社の弁護士は、(同社は)ケイマン諸島に拠点を置き、ナイジェリアに物理的な事務所がないため、税務当局が法的文書を電子メールで送付するには裁判所の特別な承認が必要だったと主張している。裁判所は審理を延期し、FIRSが同社の異議に正式に回答する時間を付与。次回の審理で、FIRSはオフショア企業への法的文書の送付に電子メールを利用したことについて弁明すると予想されている。
中央銀行が不審な取引を警告
2024年初頭にナイジェリア中央銀行は、同社を通じて260億ドル(約3.7兆円)相当の身元不明のユーザー取引が流通していることを確認したと発表した。
この件は懸念を引き起こし、当局は同社のナイジェリア国内ユーザー上位100名と過去6カ月間の取引活動に関する情報提供を要求。これを受けて同社は、2月20日にナイジェリアにおけるP2P(ピアツーピア)取引サービスを停止した。同社は、システムの不正利用と予測不可能な通貨変動が原因であると説明。同時期に、ナイジェリア政府はバイナンスサイトへのアクセスを遮断した。
4月30日に予定されている公判は、バイナンスの法廷闘争における重要な局面となることが予想されている。今訴訟は、急速な成長を続ける暗号資産プラットフォームと、ナイジェリアなどの国々における厳格な金融規制との間の緊張関係を浮き彫りにしている。