バヌアツ議会が仮想通貨ライセンスおよび規制の枠組み法案を可決
南太平洋に位置するバヌアツ共和国の議会が、仮想通貨に関する包括的なライセンスおよび規制の枠組み法案を可決した。
これにより、仮想通貨関連事業者の登録や監督、運営について明確なルールを持つ国となる。新たに制定された「バーチャル・アセット・サービス・プロバイダー法(Virtual Asset Service Provider Act)」では、仮想通貨の交換業、保管業、ウォレット提供サービスなどが規制対象となる。事業者はVFSC(バヌアツ金融サービス委員会)からライセンスを取得し、AML(マネーロンダリング対策)やCFT(テロ資金供与対策)といったコンプライアンス要件を遵守しなければならない。
定義と罰則、対象の拡大
仮想資産は「交換手段、計算単位、または価値の保存手段として機能するデジタルな価値の表象」と定義され、法定通貨、証券、CBDC(中央銀行発行デジタル通貨)は対象外とされている。
無許可で事業を行った場合、個人には最大2,500万バツ(約3,039万円)の罰金または15年以下の懲役、法人には最大2億5,000万バツ(約3億399万円)の罰金が科される。また、仮想通貨取引所やNFTマーケットプレイス、カストディ業者、銀行もライセンス取得の対象となる。ステーブルコインやトークン化証券、CBDCは明確に適用除外とされている。
サンドボックス制度と国際準拠
企業が最長12カ月間ライセンスなしで事業運営できる「フィンテック・サンドボックス」も導入された。
この制度は更新可能で、VFSCのコミッショナーが承認権限を持つ。また、この枠組みはFATF(金融活動作業部会)の「トラベルルール」など国際基準に準拠しており、金融犯罪対策を強化する狙いがある。
バヌアツ政府は、新制度により信頼性の高い規制環境を整備し、国内外の投資家を呼び込む方針を示している。規制の明確化は、これまで制度整備が遅れていた同国にとって、外資誘致に向けた重要な布石となる。特に安定したルールの整備によって、健全な競争環境の促進、投資呼び込み、ビジネスコストの削減、消費者保護といったメリットが期待されており、仮想資産取引の迅速化や効率化を通じて金融包摂の促進にもつながると見られている。
一部報道によれば、この法案は仮想通貨事業の信頼性と合法性を高め、金融システムへの統合を進める上で重要な一歩とされている。明確な運用指針が提示されたことで、バヌアツを拠点とする事業を検討する企業にとっても、具体的な判断材料となる。制度は近く施行され、VFSCが運用ガイドラインを順次発表する予定だ。仮想通貨業界にとって、オフショア地域での展開を見据えるうえで注目すべき動きといえる。