カニエ・ウェスト氏、偽「Ye」トークン宣伝オファーを拒否
現在、イェ(Ye)名義で活動している人気ラッパーのカニエ・ウェスト(Knye West)氏は、偽の仮想通貨「Ye」トークンの宣伝依頼を受け、200万ドル(約3億円)のオファーを拒否したことを明かした。
この発言は、セレブリティの名前を悪用した仮想通貨詐欺が増加する中で注目を集めている。ヒップホップ界のアイコンである同氏は、ソーシャルメディアのフォロワー3,260万人をターゲットとした詐欺への参加を申し出られたが、これを拒否。この暴露は、有名人が関与する仮想通貨詐欺への懸念が高まる中で明らかになった。
同氏は2025年2月7日(金曜日)にXで、却下した提案の詳細を投稿。詐欺計画は、偽の“イェ通貨”の宣伝であり、前払いで75万ドル(約1.1億円)を受け取った後、投稿から8時間後にアカウントがハッキングされたと偽装。さらに125万ドル(約1.9億円)を受け取るというもので、同氏は次のように述べている。
私はコミュニティを騙すために200万ドルを提案されたが、これを拒否し、提案者との関係を断った。
詐欺師らは、投稿が8時間以上表示されることで多くの被害者が引き込まれ、結果的に多額の損失を被る可能性が高まると考えており、この計画によって多額の利益を得ようとしていたとされている。さらに同氏は、現在は削除済みの、プライベートな会話のスクリーンショットを共有し、(コインベース)のCEOであるブライアン・アームストロング(Brian Armstrong)氏に相談を求めたことも明かしている。
イェ(カニエ・ウェスト)氏は、仲介者を介さずに直接的な仮想通貨のコネクションを求めるメッセージを送信し、アームストロング氏の連絡先を入手しようとしている様子が確認できる。
セレブリティトークンと市場の混乱と影響
セレブリティの影響力を利用したトークンは、仮想通貨市場で大きな混乱を引き起こしている。
イェ氏のケースはその一例であり、多くの専門家が警鐘を鳴らしている。仮想通貨コメンテーターのアルメニオ氏は、次のように指摘している。
イェ氏はミームコインを発行するのではなく、仮想通貨を活用した商品の販売を検討すべきだ。セレブトークンは小売業に悪影響を与えることが多い。
一方、クリプト・ヴィック(Crypto Vic)氏は「イェ氏はトークン発行ではなく、次のアルバムリリースに向けた話題作りをしている可能性が高い。彼は優れたマーケターだ」と語っている。
過去の事例と現在の市場動向
イェ氏の暴露は、過去に発生したセレブリティ関連の仮想通貨詐欺事件と共通点がある。
特に注目すべきは、HAWKミームコインの価格暴落で知られるホーク・トゥア(Hawk Tuah)ガールことハリー・ウェルチ(Haliey Welch)氏の事例だ。同氏はHAWKトークンのプロモーションに関与し、その影響力を利用してトークンの知名度を高めた。しかし、HAWKトークンは2024年12月4日にローンチされ、時価総額が4億9,000万ドル(約744.4億円)に達したものの、翌日には91%以上の暴落を記録。同氏はその後、プロジェクトマネージャーに騙されたと主張しているが、実際の関与度は不明である。この出来事は、セレブリティが関与することで市場が過剰に反応しやすいことを示している。
また、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は就任直前に公式トランプ(TRUMP)ミームコインを立ち上げたが、成長直後に妻メラニア氏が独自のミームコインを発行したことで38%の価格下落を経験した。これらの事例は、セレブリティの影響力が仮想通貨市場に与えるリスクを浮き彫りにしており、投資家は注意が必要である。
最近の調査では、トランプ夫妻の公式ミームコイン購入者の多くが仮想通貨初心者であり、セレブリティトークンがもたらすリスクが再び浮き彫りになっている。