Bitmain共同創業者のAIチップベンチャーが米国ブラックリスト入り
米国は、Bitmain(ビットメイン)共同創業者のチャン・ケトゥアン(Zhan Ketuan)氏が所有するAI(人工知能)チップ企業ソフゴ・テクノロジーズ(Sophgo Technologies:算能科技)を貿易ブラックリストに追加した。
米国は、ソフゴ・テクノロジーズのチップが制裁を逃れてファーウェイ製品に採用されるかもしれないという懸念から、同社をブラックリストに入れた。フィナンシャル・タイムズの報道によると、米国当局は、ソフゴがファーウェイへの転用のリスクをもたらし、中国国内の半導体生産を強化するために「北京の命令で行動している」と主張。同報道ではまた、同氏がAIチップに重点を移し、Bitmainが苦境に立たされたことにも触れており、社内で対立が生じた。
米国のブラックリストへの登録により、ソフゴは正式にTSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing Company:台湾積体電路製造)から切り離されており、チップ製造を台湾メーカーに依存しているパートナーBitmainにとって問題となる可能性がある。Bitmainに近い関係者によると、TSMCへのアクセスは同社が推定80%の市場シェアを持つ世界最大のビットコインマイニングリグになるのに役立ったという。
チャン氏によるAIチップ開発に理想―スを映したことがトラブルの発端
関係者によると、Bitmainは何年もの間、TSMCの生産能力を事前に購入するために数億ドルを費やしており、ライバルのマイニングリグは能力の劣る他のチップ製造会社に頼らざるを得なくなっている。
チャン氏がAIチップ開発にリソースを移したことがトラブルの始まりであり、同報道によると、仮想通貨ハードウェアから脱却しようとする同氏の取り組みが社内対立を引き起こし手織り、同氏は次のように述べている。
当社は高性能プロセッサに注力している企業です。私たちは仮想通貨プロセッサからスタートし、今は人工知能に参入しています。これは新しい応用分野ですが、完全に方向転換したわけではありません。
米国税関当局はここ数カ月、Bitmainが製造したビットコインマイニングリグの一部を押収。今月、ワシントンがAI(人工知能)プロセッサの設計と調達を行っている同氏の他の企業に制裁を科したことで、同氏に対する圧力はさらに高まった。中国版NVIDIAを作ろうという同氏の野望が、同氏のビジネス帝国を危険にさらしたのは今回が初めてではない。5年前、同氏がAIチップの開発に多額の資金を投じたためにビットメインはほぼ破綻し、共同創業者との経営権をめぐる内戦が勃発している。
ブラックリスト入りにより、世界有数のチップメーカーであるTSMCとの取引が遮断され、ソフゴは厳しい立場に立たされ、これがBitmainにも影響するのではないかと懸念する声も。しかし、TSMCは世界的な規制に完全に準拠していると主張している。