アンドリーセン・ホロウィッツがロンドンオフィスを閉鎖し英国から撤退
米国を拠点とする著名なベンチャーキャピタル企業、a16z(アンドリーセン・ホロウィッツ)は、ロンドンオフィスを閉鎖し、英国市場から撤退する決定を下した。
この動きは、同社の仮想通貨部門の戦略的な再編成と見られている。a16zは2023年にロンドンオフィスを設立し、英国での仮想通貨事業の展開を本格化。しかし、英国の厳しい規制環境が成長を阻害していることが要因とされ、活動拠点を米国内に集中させる決定に至っている。
英国では仮想通貨に対する規制が強化されており、企業の活動に制約が生じている状況です。一方、a16zは米国市場での成長機会を重視し、リソースを再配分する戦略を採用した。
トランプ政権による政策的な後押し
この決定は、トランプ大統領の再登板による政策の影響を強く受けている。
仮想通貨を米国経済の重要な柱とする大統領令が署名され、新たなワーキンググループが設立されている。このグループは、デジタル資産市場の発展や国家デジタル資産準備金の可能性を評価する予定だ。
さらに、SEC(米国証券取引委員会)は一部の政策を見直し、銀行がビットコインを保管しやすい環境を整備する措置を取っており、こうした動きが、a16zが米国市場に重点を移す要因となったと報じられている。
英国での実績と米国への注力
a16zは、分散型ストレージネットワークのArweave(アーウィーブ)やプライバシー技術のAztec(アズテック)、Web3プラットフォームのImprobable(イムプロバブル)など、英国拠点のプロジェクトを支援してきた。
また、AI(人工知能)に特化したスタートアップGensyn AI(ジェンシンAI)にも投資をし、英国の仮想通貨業界の発展に寄与していた。
一方、a16zは米国市場への注力を強化しており、同社は2026年の中間選挙に向けた規制支援のため、フェアシェイクPACに2,300万ドル(約35.9億円)を寄付。また、技術投資としてゲームやインフラ分野に72億ドル(約1.12兆円)を投入し、特にゲーム業界への注力を示している。
バイナンス創設者CZ(ジャオ・チャンポン:Zhao Changpeng)氏も、a16zの動きが業界全体に与える影響の大きさを次のように指摘している。
米国が再びビジネスフレンドリーになる中、他国はその魅力を維持するために努力する必要がある。
a16zの英国市場撤退とロンドンオフィス閉鎖は、規制環境や市場動向に応じた柔軟な対応と言え、トランプ政権による仮想通貨支持政策は、米国市場におけるさらなる成長への期待を高めている。同社の今後の活動は、仮想通貨業界だけでなく、広範なテクノロジー分野にも大きな影響を与えると予想される。