SEC、ヘスター・パース氏を新設仮想通貨タスクフォースリーダーに任命
SEC(米国証券取引委員会)は、仮想通貨に特化した新たなタスクフォースを設立し、ヘスター・パース(Hester Peirce)委員をリーダーに任命した。
SECは仮想通貨市場の急速な成長に対応するため、ヘスター・パース氏をリーダーに据えたタスクフォースを設立。この動きは、仮想通貨市場の健全性を高めるための重要なステップとして注目を集めている。当NEXTMONEYの特集記事「トランプ大統領、SEC暫定議長にマーク・ウエダ氏、CFTC暫定議長にキャロライン・ファム氏を任命」でも報じたように、暫定議長に任命されたマーク・ウエダ(Mark Uyeda)氏のもと、SECは透明性の向上や詐欺防止、規制環境の整備に注力していくと考えられる。
ゲーリー・ゲンスラー(Gary Gensler)前委員長の辞任を受け、SECは新たなアプローチを模索中だ。同氏のリーダーシップ下では、仮想通貨規制が強制力に依存しているとの批判があった。その結果、業界内での混乱やイノベーションの阻害、詐欺の助長が指摘されていた。特に、仮想通貨企業に対する執行措置の頻度が増加した一方で、具体的な規制の指針が欠如している点が問題視されていた。
SECは仮想通貨市場の規制枠組みを整備することが重要な課題と捉えている。
SECの課題と新タスクフォースの役割
SECのタスクフォースは、仮想通貨規制に関する具体的なルールの策定を優先し、業界プレイヤーが従うべき道筋を明確に示すことを目指している。
また、詐欺や市場操作などの課題に取り組むほか、マーケットプレイヤーとの連携を通じて規制環境を適応的に構築する。この取り組みは、SECとCFTC(商品先物取引委員会)の間で長年続いている規制の管轄権争いにも対応する形となる可能性がある。
さらに、SECは連邦議会とも連携し、仮想通貨市場全体を見渡した包括的な規制の実現を目指している。
業界内の反応
パース氏は、SECの訴訟を繰り返し批判してきたことから「Crypto Mom(クリプト・マム:仮想通貨の母)」と呼ばれているが、本人はこの呼び名に否定的だ。
同氏は、「面白いとは思うが、同時に“ママ”という言葉には少々問題があると思う」とコミッショナーは過去のインタビューで語り、「私はあなたのお母さんじゃない」と明確に否定している。それにもかかわらず、ワシントンの業界関係者はタスクフォース設立を歓迎している。ブロックチェーン協会のクリスティン・スミス(Kristin Smith)CEO(最高経営責任者)氏はXで次のようにコメントしている。
I’m already seeing our industry’s bright future come into focus.
Today’s announcement of Comm'r Peirce to lead crypto policy at the SEC is welcome news. We look forward to working with her to ensure a regulatory structure that encourages, rather than punishes, crypto innovation. pic.twitter.com/reNNk1szZl
— Kristin Smith (@KMSmithDC) January 21, 2025
私たちの業界の明るい未来がすでに見え始めています。
本日、SECの仮想通貨政策を率いる委員としてパース氏が発表されたことは喜ばしいニュースです。私たちは、仮想通貨のイノベーションを罰するのではなく、奨励する規制構造を確立するために、彼女と協力することを楽しみにしています。
業界内では、SECがタスクフォースを通じて規制の透明性を高めることに期待が寄せられている。一部の仮想通貨企業は、これをきっかけに規制当局との対話が活性化し、信頼関係が深まる可能性があると見ている。
パース氏が描く仮想通貨市場の未来
パース氏のリーダーシップのもと、新タスクフォースは仮想通貨規制政策の中核を担うと期待されており、規制当局と業界プレイヤーが対話を深め、バランスの取れた市場形成が目指される。
この取り組みが成功すれば、米国の仮想通貨市場の透明性と信頼性が向上し、世界的な規制の指標となる可能性もある。「仮想通貨の母」として知られるパース氏が新たな視点で業界の成長を支援する姿勢が注目されている。