スイスのゆうちょが仮想通貨サポートアプリをリリース
スイスの全国郵便サービスの銀行子会社であるPostfinance(ポストファイナンス)が、クライアントに仮想通貨、ETF(仮想通貨上場投資信託)などへのアクセスを提供するモバイルアプリを立ち上げたことが分かった。
日本のゆうちょ銀行にあたるスイスのPostfinanceは、クライアントに仮想通貨と株式へのアクセスを提供する。今回立ち上げられた「Yuh」と呼ばれる新しいアプリケーションは、Postfinanceとオンライン取引プラットフォームSwissquoteのパートナーシップ締結によって誕生した製品だ。このコラボレーションは2020年末に確立され、ソフトウェアは5月11日の仮想ローンチイベントで発表された、とPostfinanceはプレスリリースで述べている。
Yuhアプリを使用すると、支払いを実行して将来のプロジェクトや目標のために節約できるだけでなく、小規模または大規模な投資をすべてスマートフォンから行うことができるとのこと。また、ユーザーは、Apple、Nike、Tesla、Coca-Colaなどの最も人気のある100を超える株式や、上場投資信託(ETF)に投資も可能だ。Postfinance とSwissquote の2つの金融会社は、顧客がビットコイン(Bitcoin/BTC)とイーサリアム(Ethereum/ETH)を含む13銘柄の仮想通貨をアプリから直接売買できることを明らかにし、Yuhのマーカス・シュワブ(Markus Schwab)CEO(最高経営責任者)は次のように語っている。
私たちは人々の生活をできるだけ楽にしたいのです。Yuhを使用すると、金融の世界全体を手のひらに置くことができます。いつ、どこで、どのようにお金を管理するかは、誰もが自由に決めることができます。
低料金から無料維持を目指すYuh
Yuhは、株式の購入または売却には0.5%、仮想通貨には1%の手数料がかかるものの、「低料金から無料」を維持し、支払いやP2P(ピアツーピア)転送は無料で、適用される料金に関し、常に完全な透明性を提供することを約束している。
これらの取引費用はアプリ内に明確に表示されるほか、500スイスフラン(約60,000円)以上を入金したYuhアカウント所有者は、500スイスフランを無料で受け取れるとのこと。
Postfinanceが必要な顧客を引き付けるのを手伝う
Postfinanceは、2020年、主要な指標のいくつかが大幅に減少した後、新しいデジタルバンキング戦略の実装に着手している。
現地メディアのSwissinfoは、Yuhの発表を報じた記事の中で、利益は2億4,600万スイスフランから1億3,100万スイスフラン(約297億円から158億円)に減少。運用コストは2020年に1800万フラン(1990万ドル近く)増加したと述べた。
世界的なパンデミックにより海外旅行と支出が制限される中、Postfinanceの顧客についても2019年の274万人から269万人に減少。さらに、この銀行はスイスの州が過半数を所有しているため、スイスの民間銀行と競争するために住宅ローンや企業ローンを提供することは許可されていない。
新しいモバイルアプリの発売につながったオンライン金融サービスプロバイダーSwissquoteとのパートナーシップは、国の銀行セクターの急速に変化する環境に適応するための取り組みの一環とみられる。デジタルバンキングは、スイスの物理的な支店をますます閉鎖へと追いやっている。会社の株式のごく一部を購入し、比較的低料金でさまざまな仮想通貨を取引するオプションなどの魅力的な機能を備えたYuhは、新しいさまざまな顧客を引き付ける可能性がり、スイス国民だけでなく、世界の金融関連企業も注目している。