イランのエネルギー危機は仮想通貨マイニングが停電を引き起こしたか
ビットコイン(Bitcoin/BTC)マイニングは、マイニング企業や個人にとって大きな利益をもたらす事業である一方、多くの問題を引き起こしており、イランの首都とその近隣の州で過去2カ月間に計画停電が発生し、企業や地元住民の日常生活に支障をきたしている。
テヘランの計画停電に関する最近の問題は、地元当局の間で懸念を引き起こし、仮想通貨マイナーの潜在的な責任について調査を要求。イランの現地当局は、この問題が繰り返される根本的な要因をいくつか挙げ、23万台の機器を使用する無認可マイナーが首都で停電を引き起こしているのではないかと疑っている。
イランは歴史的に、主に核開発計画に対する国際制裁により、電力需要の増加に苦しんでおり、政府が予算を補うために電力備蓄の一部を売却し、地域紛争や不適切な管理に対処したことも、事態を悪化させている。イランの計画停電は、11月初旬のビットコインの大幅な価格上昇と同時期に起きた事も仮想通貨マイニングが原因と考える一因だ。また、イランの現地当局者の中には、ビットコインの価格急騰と米国での仮想通貨開発への注目が、首都の頻繁な停電に関係しているのではないかと疑っている声も聞こえている。
住民と地元産業が停電で苦境に
国の電力網への負担増大は、政策立案者の注目を集めており、国営電力会社のモスタファ・ラジャビ(Mostafa Rajabi)CEO(最高経営責任者)によると、一部の日和見主義者が、国の補助金を受けた電力やその他の資源を、許可なく仮想通貨マイニング活動に利用したと主張している。
ただし、イランでは停電が頻繁に発生しており、増大する需要に対応できず、電力設備が老朽化していることも反映。2023年の夏、首都近郊の工業団地が停電に見舞われた後、10月と11月には、テヘランの近隣地域が停電に見舞われていた。
イランの補助金付き電力がビットコインマイニングブームを牽引
イランは2022年以降、大幅に補助金が支給されている電気料金により、ビットコインマイニングの世界的なホットスポットとなっている。
イランの電気料金は1キロワット時あたりわずか0.002ドルで、世界でも圧倒的に安い。ビットコインマイニング費用の大半を電気代が占めており、この低価格がマイナーを惹きつけている。2024年8月に同CEOは、無許可マイニング活動が地域の電力網に与える影響を強調。無許可のデバイス23万台が消費する電力は、主要製造拠点であるマルカジ州の総電力需要に匹敵。これに対し、テヘランは市民に無許可の仮想通貨マイニング機器を報告するよう奨励する報奨金制度を導入し、同CEOは次のように現地メディアに語っている。
機会を狙う個人が補助金付きの電力や公共ネットワークを悪用し、適切な許可なく仮想通貨をマイニングしている。この無許可のマイニングは電力消費の異常な急増につながり、国の電力網に重大な混乱や問題を引き起こしている。
イランでは、国民がソーシャルメディアで、これまで発見されていたマイニングファームに関する情報を共有しており、国民の不満は高まっている。こうした活動の多くは、モスクや学校など政府支援地域で発見されるのが一般的であり、こうした施設は、通常、割引料金または無料の電気料金を受け取っている。
当局は現時点でビットコインマイニングと停電を直接結び付けていないが、国民は関連性を指摘。イランでは、仮想通貨の探究と無許可マイニングとの闘いという二重のアプローチをとっており、この分野が国の経済において果たす複雑な役割を反映している。