バンクーバー市が描くビットコイン活用の未来

バンクーバー市のスカイラインとビットコインのロゴが融合した未来的なデザイン

カナダのバンクーバー市議会は、法定通貨に対する懸念が高まる中、ビットコイン準備金提案を支持する動きを見せた。この提案は、仮想通貨を財政戦略に組み込むことで、市の財政をより安定させることを目指している。

ビットコイン提案の背景と市長の主導

この提案は、インフレーションや通貨価値の下落に対する懸念が高まる中で浮上した。

「City of Vancouver「Standing Committee on City Finance and Services – December 11, 2024(日本語訳:バンクーバー市「市財政およびサービスに関する常任委員会 – 2024 年 12 月 11 日」)」より画像引用

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ケン・シム(Ken Sim)市長が主導し、ビットコイン(Bitcoin/BTC)を市の財政基盤の一部として活用する計画が立てられた。市長は「市の戦略的資産にビットコインを追加することのメリットを考慮しないのは無責任だ」と述べ、ビットコインの可能性を強調している。

また、市の住宅市場が1995年から2022年の間に381%の価値上昇を記録し、伝統的な資産がその利益に追いつけなかった点も背景に挙げられており、市長は、このような状況を踏まえ、ビットコインが市の財政安定化に貢献できると考えている。

賛否が分かれる市議会の反応

提案に対する議会の反応は賛否両論で、支持派は、ビットコインが提供する分散化と透明性が市の財政戦略に有益だと主張。一方で、反対派は仮想通貨の価格変動や環境への影響を懸念している。

シム市長は、「ビットコインは過去16年間で最もパフォーマンスの高い資産です。そのため、分散型ポートフォリオにビットコインを含めることを検討しないのは無謀だと思います」と述べ、議論をリードした。さらに、彼は市に対して1万ドル(約150万円)相当のビットコインを寄付する意向を表明し、このプロジェクトへの強い支持を示した。

次のステップと期待される影響

提案が採択されたことで、バンクーバー市は具体的な導入プロセスの検討に進む。ビットコインの購入方法や保管の仕組み、リスク評価など、詳細な分析が行われる予定である。

また、この動きは世界的な暗号資産導入の流れにも関連しており、バンクーバーがその先駆的役割を果たす可能性を秘めている。エルサルバドルをはじめとする他国の取り組みと合わせて注目されており、仮想通貨が既存の財政システムを補完する新しいモデルとして期待されている。

法的課題と財政政策への影響

今回の提案は、バンクーバー市が財政の安定性を高めるだけでなく、仮想通貨分野でのリーダーシップを確立する一歩となるだろう。この動きがどのような影響をもたらすのか、今後の展開が世界中で注目される。

一方で、提案が可決されたとはいえ、自治体が準備金として仮想通貨を保有することを禁じる法的規制など、多くの課題が残されている。州政府は現行法の下では地方自治体が取引や投資にビットコインを使用することを認めていないと明言している。

住宅・地方自治省も、コミュニティ憲章やバンクーバー憲章を含む既存の州法では、自治体の支払いや取引に仮想通貨を使用することを禁止していることを強調している。また、地方自治体は財政の安定を確保するために、公的資金は低リスクの承認された選択肢にのみ投資することが法律で定められており、ビットコインを準備金として保有することにも制限がある。

このような法的ハードルをどのように克服していくのか、また、仮想通貨が財政政策の未来にどのような影響を与えるのか、今後の進展が注目される。

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2022年1月から仮想通貨を触り始め、みるみるうちにNFTにのめり込んでいった。 現在はWeb3とECの二刀流で生計を立てている 得意なのは喋る事、好きな食べ物はカレー、好きなゲームは格闘ゲーム