台湾は新たなAML義務化を早急に実施
台湾FSC(金融監督管理委員会)は、仮想通貨AML(マネーロンダリング防止)登録規制の実施を2025年1月1日から2024年11月30日まで前倒しする事を発表した。
台湾は、当局が2つの仮想通貨取引所に違反で罰金を科したことを受けて、仮想通貨事業者に対する新AML規制の導入を進めた。10月に発表されたAML見直しでは、より厳しい罰則を回避するため、VASP(仮想資産サービスプロバイダー)に対するより厳格なAMLガイドラインが導入され、すべての仮想通貨企業は2025年9月までに台湾政府へのAML登録を完了することが義務付けられる。
2024年11月27日(水曜日)、台湾FSCは、仮想通貨取引所に対する今後のマネーロンダリング防止登録義務化を、従来の2025年1月1日から11月30日に延期すると発表。以前の通知によると登録を怠ったVASPは、台湾でサービスを提供することが認められないほか、2年の懲役刑または最大500万台湾ドル(約2,300万円)の罰金を科される可能性がある。
新規制ではさまざまな義務が要求される
新規制では、デジタル資産の上場と上場廃止が厳重に監視され、仮想通貨企業は違法取引に対する対策を講じ、取引量や価格変動に関連する疑わしい活動を報告することが求められる。
さらに、FSCは登録済みの仮想通貨サービスプロバイダーに、年次リスク評価レポートを作成し、顧客資産の詳細を記載することを義務付けており、デジタル資産保管業者に対し、顧客資産を信託するか、プラットフォームの資産から分離することを義務付けた。また、登録するには、企業は事業内容を概説したフォームを提出する必要があり、このフォームで提供された情報に変更があった場合は、証券店頭取引センターに5営業日以内に更新しなければならない。新規制枠組みは、台湾VASPの現システムに代わるものであり、以前に登録したかどうかに関わらず、すべての仮想通貨事業体は、新AML義務に従って登録する必要があり、以前AML規制を完了した企業は、新システムに準拠し、登録プロセスを完了する必要がある。
なお、発表後にFSCは、顧客デューデリジェンス、取引監視、記録保持、疑わしい取引報告に関連するAMLガイドラインに違反したとして、MaiCoinとBitoProの2つの現地取引所に罰金を科している。
さらに施行される仮想通貨関連の法律
2024年、台湾は規制枠組みを更新し、友好的なアプローチを拡大する仮想通貨関連法の施行に取り組んでおり、台湾財務省は、仮想通貨の脱税に対処する枠組みに取り組むと発表している。
財政相は、AML 登録を完了した 26 の仮想通貨取引所から事業税と法人税を徴収する方針があるにもかかわらず、個人からデジタル資産関連の税金を効果的に徴収するシステムを導入していないことを認めている。法律専門家は、投資家が“取引を米ドルで行われた海外活動として偽装する”ことで監視から回避できるため、金融当局が現行税法でこの問題に対処するのは困難になる可能性があると指摘している。その様な背景から、台湾の規制当局は仮想通貨の脱税に対処するため、これらの規制を改正に迫られている。