WSJがドナルド・トランプ氏のビットコイン準備金計画を非難
ドナルド・トランプ(Donald Trump)前大統領は、米国大統領選を前にビットコイン(Bitcoin/BTC)支持者の誘致を続けているが、WSJ(ウォールストリートジャーナル)は2024年7月29日(月曜日)、ビットコインに対する前大統領の立場を批判する意見記事を掲載したほか、ピーター・シフ(Peter Schiff)氏もBTC準備金計画を批判している事がわかった。
WSJは29日、ビットコインに対するトランプ前大統領の立場を批判する意見記事を掲載。WSJの分析によると、前大統領がナッシュビルで開催されたビットコインイベントに出席し、米国を世界的な仮想通貨の中心地に変えるという主張が端を発している。前大統領のこの動きは、選挙運動への資金援助を集めたいという願望が一部動機となっている可能性があると指摘している。
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前大統領による仮想通貨支持スピーチの主な内容は以下となっている。
「ビットコインのようなものはこれまで存在しなかった」
「ビットコインは単なる技術の驚異ではなく、協力と人類の偉業の奇跡である」
「ビットコインはいつか金の時価総額を上回るだろう」
「すべてのビットコインが米国でマイニングされ、世界のビットコイン大国になるつもりだ」
さらに前大統領は、仮想通貨の自己管理権利を擁護。さらに、2024年11月の米国大統領選挙で勝利した場合、就任初日に現SEC(米国証券取引委員会)のゲーリー・ゲンスラー(Gary Gensler)委員長を解任し、新たな委員長を任命すると約束している。ほかにも、将来的な仮想通貨規制は、業界の繁栄を望む人々から生まれると約束。ドルに裏付けられたステーブルコインの規制枠組みを作り、それによって米ドルを強化なども主張している。
WSJは記事の中で、現政権の仮想通貨規制への取り組みに対する前大統領の批判には一定の根拠があることを認めたものの、ゲンスラー委員長の行動を標的にし、仮想通貨業界に対して不当なことが多いと特徴づけていると指摘。WSJの議論の核心は、トランプ氏の仮想通貨政策に矛盾があると同紙が考えている点にあり、前大統領が現在ビットコインを政府の管理からの独立の象徴として描いている一方で、前大統領が提案する政策は仮想通貨分野への政府の関与の拡大を示唆しており、この立場と矛盾しているようだと指摘している。
ピーター・シフ氏もトランプ準備金は失敗と批判
嫌ビットコイン派のピーター・シフ(Peter Schiff)氏も、トランプ前大統領のビットコイン準備金計画は根本的に欠陥があり、潜在的に自滅的であるとして一蹴している。
If #Trump really intended to use seized #Bitcoin to start a U.S. "strategic" reserve, he'd have kept his intention a secret until he was actually in office. Now that the #Biden administration is wise to his plan, they'll make sure to sell every Satoshi before Trump takes office.
— Peter Schiff (@PeterSchiff) July 29, 2024
もしトランプ氏が本当に押収したビットコインを使って米国の「戦略」準備を始めるつもりだったなら、彼は実際に就任するまでその意図を秘密にしていたはずだ。今やバイデン政権は彼の計画を知っており、トランプが就任する前にすべてのサトシを売却するだろう。
シフ氏は、前大統領が就任前に計画を公表したことで、うっかり計画を台無しにしてしまったと述べたうえで、ビットコイン準備金計画を批判。バイデン現政権は、前大統領が政権を握る前に、保有するすべてのビットコインを清算するなど、この計画を阻止する十分な時間を持つだろうと主張している。
現在米国政府は、犯罪による資産差し押さえを通じて取得した21万BTCを保有していると推定されており、その価値は140億ドル(約2.13兆円)に相当する。この相当な保有量は総供給量の1%を占めており、永久に失われたと考えられるBTCの量を考えると、さらに重要な保有量だ。
トランプ氏のビットコイン準備金提案はナッシュビルで熱狂的な拍手を浴びたが、包括的な国庫資産戦略には至っておらず、定期的なビットコイン購入を伴うエルサルバドルのアプローチとは異なり、トランプ氏の計画は、犯罪による没収を通じて取得した既存の保有資産を保持することのみに焦点を当てていた。
ビットコインのトランプ準備金をめぐる議論は、地政学と経済戦略における仮想通貨の影響力の高まりを強調している。