国連制裁査察官が北朝鮮のサイバー攻撃疑惑を捜査
国連(United Nations:国際連合)の専門家は、金正恩(キム・ジョンウン)最高指導者率いる北朝鮮国家に数十億ドルをもたらしたと推定される、北朝鮮のサイバー攻撃疑惑を調査していることが明らかになった。
調査の焦点は、2017年から2023年の間に発生した、注目度の高い仮想通貨ハッキングを含んだ大量破壊兵器開発作業を支援するための58件のサイバー事件の疑いであり、武器開発の資金調達を目的としていたと伝えられている。国連専門家によると、その推定額はおよそ30億ドル(約4,477億円)にのぼるとのこと。
国連委員会によると、北朝鮮の主要な対外情報機関である偵察総局につながる北朝鮮のハッキング集団によるサイバー攻撃の頻度は、現在も続いているとみられている。今回の調査のタイミングは、同指導者は韓国に対する脅威を発し続け、武器のデモンストレーションを強化している事から、地域の緊張が高まっている時期と重なっている。
北朝鮮では7回目の各実験への核実験活動が続く
国連委員会はまた、北朝鮮の豊渓里(プンゲリ)核実験場での活動が続いていることを強調し、2017年以来初となる北朝鮮の7回目の核実験に向けた潜在的な準備を示唆した。
実際、北朝鮮は2024年1月末までの半年間に、5発の短距離弾道ミサイルに加え、大陸間弾道ミサイル1発と中距離ミサイル1発を含む少なくとも7発の弾道ミサイルを発射したと報じられている。さらに、過去2回の失敗を経て、軍事観測衛星の軌道投入に成功し、重要なマイルストーンを達成。特筆すべきは、ディーゼル潜水艦が戦術核攻撃型潜水艦に改装され、北の軍事力が強化されたことである。
国連委員会の調査は、多数の北朝鮮国民が海外で、特に情報技術、レストラン、建設部門で働き、国連制裁に違反して収入を得ているという報告にもおよんでいる。北朝鮮は国際金融システムにアクセスし、不正な金融活動を継続。これも制裁違反のひとつであり、国連の制裁は、一般的な北朝鮮国民ではなく、政権をターゲットにしたものであるが、人道的状況や援助活動に意図せざる影響がおよんでいることをパネルは認めている。
サイバー犯罪組織はミキサーを利用とOFACが指摘
米国財務省傘下のOFAC(米国財務省外国資産管理局)は最近、仮想通貨ミキサーのSinbad(シンドバッド)に制裁を科しており、OFACは、Lazarus(ラザルスグループ)のようなサイバー犯罪組織が、このミキサーを利用して盗んだ資金を洗浄したと主張している。
Sinbadは、ブレンダーとTornado Cash(トルネードキャッシュ)に対する同様の懲罰的措置に続き、OFACが制裁した仮想通貨ミキサーの仲間入りを果たした。
2023年の12月に米国、韓国、日本は北朝鮮のサイバー脅威に対抗するための行動を強化することで合意。この決定は、3カ国の国家安全保障アドバイザーがソウルに集まり、北朝鮮のサイバー犯罪活動や仮想通貨を通じた不正資金洗浄に対抗するための新たな3カ国の戦略について審議したことを受けたものである。この協力的な試みは、仮想通貨窃盗をエスカレートさせるために平壌(ピョンヤン)が洗練された戦術を採用していることを詳述した最近の国連報告書で強調されたように、北朝鮮が核・ミサイル開発計画の資金調達のためにサイバー戦争を悪用していることを指摘する主張の後に行われたとみられる。