中国がデジタル人民元で初の石油取引でドル覇権に挑戦

中国がデジタル人民元で初の世界石油取引

歴史的な石油取引はドルの優位性に対する人民元の挑戦を示唆中国国営石油会社ペトロチャイナ(PetroChina:中国石油天然気)が、中国のデジタル通貨であるデジタル人民元「e-CNY」で決済される史上初の国際原油取引を完了したと現地メディアの報道が明らかにした。

歴史的な石油取引はドルの優位性に対する人民元の挑戦を示唆。SHPGX(上海石油天然ガス取引所)は、デジタル人民元が石油取引の決済に初めて使用されたと発表。ペトロチャイナは2023年10月19日(木曜日)に原油100万バレルを購入。この画期的な貿易は、自国通貨を国際化させ、世界の石油市場における米ドルの優位性をゆっくりと削り取っていくという中国の意図を示している。

何十年もの間、世界の石油取引はほぼ完全に米ドルで行われており、いわゆるオイルダラーシステムが定着。これにより、米国は地政学的に大きな影響力を維持し、自国通貨に対する持続的な需要を享受できていた。

中国は人民元の世界的利用拡大をもくろむ

世界最大の石油輸入国である中国は、自国通貨である人民元の世界的な利用を拡大したいと長年望んでいた。

ドルではなくデジタル人民元で石油取引を増やすことで、中国はオイルダラーシステムを弱体化させ、通貨権力を拡大する可能性がある。一部の中央銀行による最近の動きは、中国通貨に対する開放性の高まりを示唆。アルゼンチン中央銀行は2023年6月、デジタル人民元による入出金を許可すると発表。これは、中国国外で初めてデジタル人民元を採用した中央銀行の1つとなり、注目を集めた。また、ブラジル中央銀行も3月にこれに倣い、人民元を外貨準備に追加している。