市場の挑戦によりレジャーCEOは「難しい決断」を迫られる
仮想通貨投資家向けの著名なハードウェアウォレットメーカーのレジャー(Ledger)社は、長引く業界不況を乗り越えるための戦略的取り組みの一環として、従業員を12%削減すると発表した事が分かった。
今回の決定は、収益創出を妨げているマクロ経済的課題に対応して行われたもので、同社は事業の長期的な持続可能性を優先するよう促されている。同社のパスカル・ゴティエ(Pascal Gauthier)CEO(最高経営責任者)兼会長は、一般的な市場状況に直面して難しい決断を下す必要性を強調。同CEOはスタッフに送ったメールの中で、マクロ経済の逆風の影響を認め、会社の将来のために資源を保全することの重要性を強調し、次のように主張した。
マクロ経済の逆風により、収益を生み出す能力が制限されています。ビジネスを長く続けるためには意思決定をし続けなければなりません。
詳細は未発表
レジャー広報担当者は人員削減を認めたが、影響を受けた従業員に関する詳細は明らかにされていない。
今回の動きは、仮想通貨業界が金利の上昇や規制当局の監視の強化など、さまざまな課題に取り組んでいる中での実現である。これらの要因により、取引量の減少、資金調達の減少、NFT(非代替性トークン)など、かつて人気のあったセグメントの金利と価格の顕著な下落を特徴とする混乱した環境が生じている。
DappGamblの研究者は、73,000を超えるNFTコレクションの約95%が大幅な価値を失ったと推定している。こうした業界全体の苦境に対応し、大手取引所、商社、サービスプロバイダーを含む多くの仮想通貨企業は、コスト削減策の導入と従業員の削減を余儀なくされている。最近の例としては、当NEXTMONEYの2023年10月5日付け特集記事「チェイナリシスが厳しい市場環境の中で従業員の15%にあたる150人を削減」でも報じているように、ブロックチェーン分析会社チェイナリシス(Chainalysis)が従業員の15%を解雇している。
レジャーの評価額は13億ユーロに急上昇
2014年に設立されたレジャーは、ユーザーがブロックチェーン資産にアクセスできるようにする秘密鍵を保護するように設計された安全なハードウェアデバイスの大手プロバイダーとして浮上している。
過去1年間のFTXなどの仮想通貨取引所の崩壊や注目を集めたハッキングによってさらに悪化。保有資産の安全性に関するユーザー間の懸念の高まりにより、レジャー製品と競合他社の製品に対する需要が増加。報告書によると、レジャーは今年初め、資金調達ラウンドで約1億ユーロ(約156.8億円)の調達に成功し、同社の評価額は13億ユーロ(約1028.4億円)近くにまで急上昇している。この評価額は、2021年の強気市場中に投資家によって割り当てられた価格と厳密に一致しており、同社は、自社デバイスに世界の仮想通貨の20%以上、世界のNFTの30%以上が保存されていると主張している。
従業員の人員削減という決定は、同社が仮想通貨業界の進化する状況に適応し、舵をとろうとする中での、困難な市場状況への同社の対応を反映したものと言える。