シャリア法厳守について議論が激化する中でオマーンが仮想通貨を採用

オマーンが仮想通貨採用とマイニング事業への投資を発表

イスラム学者による仮想通貨の正当性やイスラム法との適合性についての議論が激化するなか、オマーン国(※、以下オマーンと表記)は仮想通貨を受け入れ、仮想通貨マイニング事業に数百万ドルを投資すると発表した事が分かった。

オマーンはイスラム教の厳格な原則と伝統を守る国である。そのオマーンが、仮想通貨マイニングの世界に参入し、仮想通貨との関係を大幅に強化する一連の投資を発表した。この動きは、競争の激しい地域においてデジタル大国としての地位を確立するという同国の計画に沿ったものと言える。

オマーン政府は、仮想通貨マイニングに向、アブダビに本社を置くフェニックス・グループ(Phoenix Group)との3億ドル(約440億円)の提携が含む約8億ドル(約1,172億円)の投資を発表した。同グループとの提携は、グリーンデータシティ(Green Data City)と提携し、150メガワットの仮想通貨マイニング施設の基礎を築くことを目的としている。

グリーンデータシティは、オマーン有数の認可を受けた仮想通貨マイニング会社の1つで、早ければ2024年にも操業を開始する予定でだ。さらに、同国はエクサヘルツ・インターナショナル(Exahertz International)による3億7,000万ドル(約542区円)のマイニング事業の承認も付与。複数の現地メディアの報道によると、エクサヘルツは業務を強化するため、10月までにさらに15,000台のマシンを追加する予定とのことだ。オマーンのハムード・アル・マーワリ(Hamoud al-Maawali)運輸・通信・情報技術大臣は、この投資はデジタル経済の成長を加速するという国の取り組みにおける大きなマイルストーンであると述べている。

仮想通貨に対するイスラムの視点

オマーンの仮想通貨分野への進出は、地域全体が暗号通貨を採用しつつある中で行われた。

シャリア法によって定義されるイスラム教の金融原則は、金融商品の許可または禁止を定義するものである。一部のイスラム学者は、仮想通貨は投機的な性質を持っているため、イスラム教徒には許されないと主張。このような見解は、エジプト、トルコ、インドネシアなど、複数の国のイスラム学者によるファトワ(イスラム法的判決)の発行につながっている。

しかし、仮想通貨には利息がないため、許容されるものとして分類できると考える一連の思考もある。彼らは、自分たちの主張をさらに裏付けるため、仮想通貨の受け入れが進んでいることを強調。この議論の一例は、イーサリアム(Ethereum/ETH)に関して一部の学者が採用しており、イーサリアムは許可されていると主張。その一方で、イスラム学者のトップ組織であるインドネシアウラマー評議会(Majelis Ulama Indonesia)は、すべての仮想通貨が禁止されていると宣言している。

イスラム諸国はカオス通貨を採用しつつある

議論は続いているが、イスラム諸国が仮想通貨を大々的に受け入れており、近年最大の仮想通貨導入国の一つであることは明らかだ。

チェイナリシス(Chainalysis)が2022年に実施した調査では、中東と北アフリカ地域が最も急速に成長している仮想通貨市場であることが判明。さらに、チェイナリシスの暗号採用指数に含まれる20カ国のうち4カ国はイスラム教徒が多数を占める国だ。これらには、ナイジェリアなどイスラム教徒の人口が多い国々も加わっている。しかし、これらの国の規制枠組みは著しく対照的だ。一方で、UAE(アラブ首長国連邦)などの国々は、仮想通貨企業や仮想通貨愛好家にとって歓迎的で有益な環境を作り出している。しかし、トルコなどの国は、仮想通貨取引を許可している一方で、決済や銀行などの金融仲介機関による暗号通貨の使用を制限している。

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