2つのワールドコインが混乱で価格が急騰
Open AIのサム・アルトマン(Sam Altman)CEO(最高経営責任者)を共同創設者とする目をスキャンする仮想通貨プロジェクトワールドコイン(WorldCoin)は、プライバシーとデジタルアイデンティティに関する議論を引き起こしており、この議論は、無関係なトークンであるワールドコイン(WorldCoin/WDC)の急増に伴って行われた事が分かった。
同CEOのワールドコインとは何の関係もないワールドコインは、プロジェクトから新たな更新がなかったにもかかわらず、5月15日~5月17日にかけて大幅な高騰を記録。この急騰は同CEO率いるプロジェクトに関連する最近の話題が原因であり、投資家の間で混乱を招いた可能性が高い。このあいまいなトークンは、時価総額約900万ドル(約12.4億円)で2013年に発売され、同名のトークンの成功から恩恵を受けたとみられる。
ワールドコインとワールドコイン
ワールドコイン(WorldCoin)は古い仮想通貨にあたるが、時価総額と取引高が比較的低く、ほとんど注目されていない状態であった。
2013 年に開始されたこのプロジェクトは、世界で9番目に古い仮想通貨であると主張しているものの、それ以降はほとんど発展が見られていない。一方、同CEOは2019年にワールドコインを立ち上げ、本人確認のための眼球スキャン技術の先駆けとなっている。同CEOのワールドコインにはトークンが含まれているものの、非売品であり、同CEOのワールドコインは取引できず、市場価値もない。この事実は、ベンチャー支援を受けたワールドコインの成功から恩恵を受けようとしている一部ユーザーを混乱させたとみられる。5月15日から5月17日までの間に、トークン価格は0.0395ドルから0.063ドルに上昇している。
WDCの価格が予想外に上昇したのはこれが初めてではなく、3月には1,000%急騰。これは同CEOのプロジェクトとの誤った関連も原因である可能性が指摘されている。予想外の価格高騰に、WDCからも反応があり、プロジェクトは、2つのトークンについて投資家を教育するため、公式サイトにて免責事項を掲載し、次のように呼びかけている。
ようこそ、新参者。皆さんに明確にしていただきたいことがあります。私たちは『ORB RETINA SCANNING WORLDCOIN』ではありません。彼らは私たちの名前を盗んだ詐欺師です。間違ったコインに投資してほしありません。
ワールドコインとサム・アルトマンCEOによるワールドコインプロジェクトの混同は、誇大宣伝や誤解に基づいた投資のリスクを改めて浮き彫りにしている。