タイ銀行はCBDCデジタル通貨推進を継続

タイ中央銀行がCBDC推進を継続へ

タイの中央銀行であるBoT(Bank of Thailand=タイ銀行)は、CBDC(中央銀行発行デジタル通貨)の推進を続けるが、展開にはさらに5年以上かかる可能性があると述べたことが明らかになった。

地元メディアのバンコクポストの報道によると、BoTはCBDCの追求を続けているものの、優れたリスク管理で金融システムにさらなる利益をもたらすことを確認する必要があるため、5年ほどの期間を要するとのこと。BoTを含む多くの銀行がCBDCを開発しているが、市場でこの通貨を導入しているところ現時点はない。タイ中央銀行のセタプット・スチワートナルエプット(Sethaput Suthiwartnarueput)総裁は、世界的なリテールCDBCの開発には、市場投入までにさらに5年かかると予想していると述べた。

同総裁は、タイのデジタル決済インフラシステムであるPromtPayに関してメリットがあるかどうかなど、リテール向けCBDCのリスクとメリットをもっと理解したいとし、BoTはまだそうしたメリットを見出していないと述べている。

クロスボーダー決済の期待がかかるホールセールCBDCの開発

中央銀行は現在、サイアム商業銀行、アユタヤ銀行、2C2P(タイ)Co、および約1万人の小売ユーザーと協力し、実際のアプリケーションでCBDCをテストしている。

基礎編では、CBDCを使って商品やサービスの支払いなど、現金と同じような活動を行うことが要求される。この側面でのテストは2022年末から2023年半ばまで実施される予定であり、イノベーショントラックに関しては、プログラマビリティに焦点を当て、CBDCのユースケースの開発を促進する予定であるとのこと。また、BoTは、クロスボーダー決済分野の促進が期待されるMultiple CBDC Bridge(mBridge)プロジェクトの一環として、ホールセールCBDCの開発を進めていることも明らかになっている。

日本語訳:
プロジェクトmBridgeでは、香港特別行政区、タイ、中国、アラブ首長国連邦の20の銀行がこのプラットフォームを使用して、合計2,200万ドルを(約32.6億円)超える164件の支払いと外国為替取引を行いました。

さらに、バンコク・ポストによると、日銀は香港金融管理局、アラブ首長国連邦中央銀行、中国人民銀行デジタル通貨研究所、BISイノベーションハブ香港センターとともに、mBridgeの一部としてCBDCを使った初のパイロットテストを完了していると報じている。mBridgeでは、中央銀行と商業銀行間のCBDCの発行と償還、商業銀行間の外貨でのクロスボーダーの交換、現地通貨でのクロスボーダーの決済という3種類の取引がテストされ、mBridgeを使えば、クロスボーダー取引は3~5日かかっていたのが、数秒で処理されるようになる。

一方で、CBDCが間もなく発足することが決まったことで、タイは仮想通貨規制をこれまで以上に厳しく取り締まっており、9月にタイSEC(タイ証券取引委員会)は、現在進行中のクリプトウィンター(仮想通貨の冬)の影響で個人投資家を保護するため、仮想通貨会社を取り巻く規則を強化することを発表。そこでSECは、仮想トークンの広告には、デジタル資産への投資のリスクに関する警告を明確かつ目に見える形で記載しなければならないと決定したほか、広告の条件も規制当局に伝えなければならないと述べている。