タイのエネルギー王が仮想通貨への露出を増やす
GED(Gulf Energy Development=タイ湾岸エネルギー開発)のサラス・ラタナヴァディ(Sarath Ratanavadi)CEO(最高経営責任者)は、同社が利益の一部を多様化するためにブロックチェーンエコシステムに投資すると述べたことが明らかになった。
ラタナヴァディ氏はタイで2番目の富豪として知られており、ブルームバーグ ビリオネア番付(Bloomberg Billionaires Index)によると、彼の資産は120億ドル(約1.7兆円)に近く、同氏の会社はタイ、ベトナム、オマーンにエネルギーを供給しているとのこと。同社は仮想通貨投資を増やすつもりであることを明言しており、具体的には、ブロックチェーン製品に投資することによって、エンティティの収益源の一部を多様化することを望んでいるとのこと。
さらに同氏は、GEDがBinanceと提携し、タイでデジタル資産プラットフォームを確立するためのライセンスを求めており、仮想通貨が同社の将来の活動において重要な役割を果たすと予測。これにより同社が国内市場のリーダーになることへの期待を高めているようだ。
将来の仮想通貨への取り組み
GEDは2022年3月、デジタル通貨に直接投資する計画を発表し、その目標を達成するために、Gulf International Investment Limitedという指定子会社を設立している。
その1カ月後に同社は、Binance USの関連会社に投資をしており、同取引所のネイティブ・トークンであるBNBに未公開の資金を割り振るなど、同プラットフォームとの連携により、同社の事業範囲が拡大し、将来の仮想通貨への取り組みが容易になると期待を寄せており、GEDは次のように語っている。
ブロックチェーンインフラ技術の世界的リーダーであるBinanceとのマルチレベルの協力は、デジタルインフラにおけるリーダーになるという当社の目標に沿うものであると同時に、当社が将来的に他のデジタル資産関連の取り組みに拡大するためのさらなる機会を提供すると確信しています。
市場低迷とマクロ経済のハードルが存在する今がチャンス
ラタナヴァディ氏が仮想通貨に深く潜り込む意図は、広範な市場の低迷とマクロ経済的なハードルが存在する時期にあると考えられている。
例えば…、ビットコイン(Bitcoin/BTC)はCoinMarketCapの調べによると、8月30日14時半現在、1BTC=2,824,000円(20,400ドル)前後で推移しており、前日同時刻日+3.06%、1週間で見ると-4.14%にやや回復。一時期100兆円を超えていた時価総額は、54兆242億円となっている。実際、タイでは2021年12月時点では約70万件のアクティブ仮想通貨関連取引口座を有していたものの、現在は約26万件に減少していること注目に値する。
一方で、デジタル資産産業に対する国内規制当局のスタンスは、理由の一部の可能性があり、今年初め、現地当局は、国内の通貨システムに悪影響を及ぼす恐れがあるとして、仮想通貨を決済手段として使用することを禁止したとのことだ。