北朝鮮のハッカーとの関係をめぐってクリプトミキサーに制裁を課す

米国財務省がTornado Cashに制裁へ

USDT(United States Department of the Treasury=米国財務省)は、北朝鮮のハッカーによって盗まれた仮想通貨の洗浄に関与したとして、仮想通貨ミキシング業者Tornado Cashに制裁を課したことが発表された。

米国財務省は、Tornado Cashとして知られる、いわゆる仮想通貨ミキサーの米国企業や個人による使用を禁じたと発表し、Tornado Cashに関連するアカウントやウェブサイトがインターネット上から消去されたとのこと。財務省は、この通貨ミキサーが、これまでで最大の既知の仮想通貨強盗と呼ばれる、Lazarus Groupとして知られる北朝鮮の国営ハッカー集団によって盗まれた4億5,500万ドル(約614.5億円)以上の資金洗浄を助けたと発表したとのこと。

実際、同省は、北朝鮮のハッカーやその他の団体が、合計70億ドル(約9,455億円)以上の不正な利益を洗浄するためにこれを利用していたと主張したとのこと。

サイバー犯罪には厳しい制裁で挑む米国

米国財務省海外資産管理局によると、Tornado Cashは2019年の創設以来、70億ドル以上の仮想通貨を洗浄したとされており、Tornado CashとLazarus Groupはともに、2019年以降、米国から制裁を受けており、ブライアン・ネルソン(Brian Nelson)テロと金融情報担当財務次官は公式発表の中で次のように語っている。

本日、財務省は、米国内の被害者に対して行われたものを含むサイバー犯罪の収益を洗浄する仮想通貨ミキサーであるTornado Cashを制裁することを決定しました。

米国は2022年5月、Lazarus Groupが今年初め、人気P2EゲームAxie Infinityから窃取した約6億2千万ドル(日本円で約837.5億円)のうち、2,050万ドル(約27.7億円)を洗浄したとして、仮想通貨ミキサーBlender.io  https://blendar.io/ に制裁を課している。

現在では、Tornado Cashに関連するコードを保管していたGitHubのアカウントは「ページが見つかりません」というエラーを返し、このプロジェクトにリンクしていたウェブサイトも同様にアクセスできないようになっている。アントニー・ブリンケン(Antony Blinken)国務長官は声明を発表し、次のように語っている。

米国は、犯罪者のために仮想通貨をロンダリングするミキサーとそれを支援する人々に対する行動を追求し続けるつもりです。米国は悪質なサイバー行為者に対し、犯罪行為の加害者や実現者の暴露、混乱、説明責任の推進に向け、躊躇なく当局を行使する予定です。

一方で、ユーザーにとっての仮想通貨の魅力の一つは、政府の検閲や制限を回避できるとされていることであり、2月のロシアのウクライナ侵攻後、米国とその同盟国は、規制当局や当局者からの警告に応え、制裁の回避策として仮想通貨に焦点を当てている。