イーロン・マスク氏が米国経済について悲惨な警告
米国の自動車メーカーTesla(テスラ)社と航空宇宙メーカーのスペースX(SpaceX)のCEOであるイーロン・マスク(Elon Musk)氏は、米国経済に対し、FRS(Federal Reserve System=米国連邦準備制度)が再び大幅に引き上げられるとデフレになると悲惨な警告を発した事が分かった。
A major Fed rate hike risks deflation
— Elon Musk (@elonmusk) September 9, 2022
FRBの大幅な利上げはデフレのリスク
マスク氏は、FRSによって再び大幅に金利を引き上げられるとデフレ(※1)になると警告。同氏の警告は、FRB(Federal Reserve Board=米国連邦準備制度理事会)が9月のFOMC(Federal Open Market Committee=連邦公開市場委員会)会合で再び大きな利上げを進めると予想されているときに出た警告である。
物価が持続的に下落していく経済現象で、モノに対して貨幣の価値が上がっていく状態となる事をデフレーションと言い、略してデフレと呼ばれている。
イーロン・マスク氏によるデフレ警告を打破
マスク氏は、米国経済の悲観的なシナリオを示す主要人物ではなく、有名な投資家であるが、同氏と同様に警告している人物の一人であるScion Asset Managementの創設者であるマイケル・バリー(Michael Burry)氏は、米国で2008年に相当するレベルの経済危機が起こると予測。
さらに、エコノミストのピーター・シフ(Peter Schiff)氏は、FRBが急速に量的緩和に移行し、それが経済の急激なインフレを引き起こすと考えており、ハイパーインフレについて警告している。マスク氏によると、現デフレリスクは、FRBが高騰するインフレと戦うために質的な引き締めに取り組んでいるため、マネーサプライが縮小していることに起因しているとのこと。FRBのジェローム・パウエル(Jerome Powell)議長は、すでに家計と企業に苦痛を与えると述べている。FRBは消費者がインフレと戦うのを助けるためにドルの強さを増やそうとしていることを明らかにしており、FRBは9月21日(水曜日)のFOMC会合で次回利上げ決定を発表する予定だ。
デフレが株式市場に与える影響
米国のような主要経済国は、一定期間にわたる商品とサービスのバスケット価格を比較することにより、経済の価格変動を分析する。
米国労働統計局が発表した消費者物価指数は、まさにそれを測る重要な指標である。短期的には、商品価格が下落するデフレは消費者にとって朗報であり、通貨購買力も高まることから、期待感も膨らんでいる。一方で、長期的にはデフレによる経済縮小の可能性があり、エコノミストは、デフレはインフレよりも危険であると考えている。FRBは、量的引き締め策を通じてインフレを容易にコントロールできるものの、量的緩和によってデフレを抑えることは容易ではない。そこにドルの価値が高まると、流動性の罠が生じ、投資家は、株式やその他のリスクのある資産への投資に慎重になる。その理由として、このような時期には、現金が最良の投資になるためである。
仮想通貨市場は一般市場、特にテクノロジー株と強く相関しているうえ、かなりリスクの高い資産でもある。イーロン・マスクのデフレ警告が続く場合、仮想通貨市場は大きな流動性危機に直面する可能性があり、仮想通貨ユーザーにとっては当面、米国の経済状態からも目が離せない状況となっている。