Vauld親会社に3カ月の債権者保護が認められる
シンガポール高等裁判所は、経営難に陥った仮想通貨金融機関Vauldの親会社Defi Payments Ltd.に対し、債権者からの3カ月間の保護を認めたことが明らかになった。
8月2日の法廷審問によると、アディト・アブドラ(Aedit Abdullah)判事はDefi Payments Ltd.に同社が要求した半分の11月7日まで続くモラトリアム(※1)を与え、期間中、同社の147,000人の債権者は同社に対して法的措置を取ることが禁じられるとのこと。
支払猶予のことを指しており、国家が債務履行の一定期間延長を認める事。
この期間は当初要求された6カ月の半分に過ぎないが、裁判官は延長が可能であることも示唆しており、これは最終的には、債権者とのかかわり合いにおける同社の進捗(しんちょく)状況の評価によるもので、次回の審理で評価されることになるとのこと。
懸念は十分な監督と監視が得られない事
Defi Payments Ltd.は2021年7月、億万長者の起業家ピーター・ティール(Peter Thiel)氏のValar Venturesが主導する資金調達ラウンドで2,500万ドル(約33.3億円)を調達しており、同案件の投資家には、Coinbase VenturesやPantera Capitalなどが含まれていた。
しかし、7月11日(月曜日)に送信した債権者宛てメールで、ダルシャン・バティジャ(Darshan Bathija)CEO(最高経営責任者)は、Vauldがグループレベルで3億3,000万ドル(約440億円)の資産と4億ドル(約534億円)の負債を持っていることを明かしており、アブドラ判事は次のように述べている。
6カ月のモラトリアムでは、十分な監督と監視が得られないのではないかと懸念しており、同社が債権者とのかかわり合いをどの程度進めているかを評価した上で、延長することも可能である。
資産詳細を債権者に提供を求められる
同審問で裁判官は、必要な問題に対処するため、同社に対して債権者委員会を設立するよう要請しており、2週間以内にキャッシュフローや資産の評価などの詳細を債権者に提供することが期待されており、会計管理は8月に行われる予定とのこと。
一方で、同じく仮想通貨金融機関であるVoyager Digitalは、Babel Finance、Celsius Networkと同様に、6月16日に事業の健全性について顧客を安心させたものの、7月上旬には、出金、取引、預金を停止し、Nexo社と協議中であることを明らかにしている。実際、仮想通貨を扱う金融業者の中には、2桁の利回りを提示して高いリターンを得るために危険な賭けをするところもあり、このようなビジネスモデルは、5月にTerraUSDステーブルコインが崩壊し、仮想通貨市場の暴落を引き起こしたことで注目を集めている。