米・SECがNFTの調査を開始
ゲイリー・ゲンスラー(Gary Gensler)氏率いるSEC(米国証券取引委員会)は、NFT(非代替性トークン)の作成者と市場での証券違反を調査していることが明らかになった。
匿名人物からの情報筋によると、SECは特定の非代替トークンが従来の証券のように資金を調達するために利用されているかどうかを調査していると主張しているとのこと。ゲンスラー氏は長年、仮想通貨に懐疑的な考えを持っていることで知られており、今回の調査は仮想通貨市場をより強固に統治しようとする一連の取り締まりであるとされている。それだけでなく、ゲンスラー氏は仮想通貨の銘柄の多くが、有価証券に該当するという見解を示しており、仮想通貨に対する監督責任の拡大を示唆しているとのことだ。
これの件に関して、SECのへスター・パース(Hester Peirce)委員は2021年12月末、SECがNFTの精査を開始する可能性を警告しており、NFT領域の広さを考慮すると、そのいくつかはSECの管轄に入るかもしれないとの見解を示した。実際、過去数カ月を通じ、SECの執行部門弁護士は、アートやコレクタブルをNFT化して販売する行為が、証券法に該当する可能性があるとして、特定のNFTやその他のトークンオファリングに対して召喚状を送付しているとのこと。
フラクショナルNFTも調査対象
調査の一部では、一つのNFTを分割して、多くの人の間で少しずつ所有できるとして話題の、フラクショナルNFTの調査も含まれているとのこと。
SECは、NEXTMONEYの特集記事「SECがBlockFiに1億ドルの罰金を科す:仮想通貨の貸し手に警告へ」で報じているように、ニュージャージーに本拠を置く仮想通貨貸付会社であるBlockFiに対して、高利回りの貸付商品を有価証券としてリストしなかったことを理由に、1億ドルの罰金を支払うよう命じている。証券に該当するか否かの判断には、一般的に投資商品の形式ではなく、経済的実質に注目するHoweyテストを用いることから、NFTにも同様の判断基準が適用されると予想されている。
SECは今回の件について公式のコメントは控えているが、SECからの情報提供の依頼は、必ずしも取り締まりにつながるものではないことは認識しておくべきだ。一方で、NFTの売り上げは伸び続けており、現在の市場は下落を経験しているものの、過去30日間で上位2つのNFT取引所LooksRareとOpenSeaが107億ドル(約1兆2,344億円)の取引量を記録している。
今後、NFTが証券として見なされた場合、法的な課税分類が変わることや規制当局の監督下に置かれることで規制が強化されるなど、大きな変化があると考えられる。