IMFは仮想通貨が新興経済国を不安定にしていると警告

IMFが仮想通貨に関する警告

IMF(International Monetary Fund=国際通貨基金)の関係者は、仮想通貨の価格変動が新興市場の資本フローを「不安定化」させる一方で、通貨としての使用は「急性リスク」をもたらすと警告していることが分かった。

IMFの財務カウンセラーであり、通貨および資本市場部門の責任者であるトビアス・エイドリアン(Tobias Adrian)氏はメディア取材に次のように語っている。

(一部の外部投資家によって)不安定であると見なされている国からお金を引き出すために仮想通貨が使用されています。一部の国の政策立案者にとっては大きな課題で、仮想通貨市場はピーク以来約10億ドル(約1,150億円)の価値を失っている。


繰り返されてきたIMFによる警告

今回IMFが警告を発したのは、当NEXTMONEYの2022年1月26日付特集記事「IMFがエルサルバドルに法定通貨としてのビットコインを削除するよう呼びかけ」で報じたように、IMFがエルサルバドルにビットコインが9月に法定通貨になるのを見たその仮想通貨政策を削除するように促したすぐ後の事である。

IMFは、ドルと並んで通貨として仮想通貨を採用することは、金融の安定と国の金融システムの完全性に大きなリスクをもたらすと警告を繰り返している。IMFから10億ドルの融資を求めているエルサルバドルのナジブ・ブケレ(Nayib Bukele)大統領は、テレビ番組「シンプソンズ」のミームを投稿して批判に応えている。

ブケレ大統領は、仮想通貨で裏付けられたローンで国内の中小企業を発行計画のほか、仮想通貨にリンクされた債券を販売することによって資金を調達することを計画している。このスキームは、すでに政府債務を所有している国際投資家の一部から批判を集めており、エイドリアン氏は次のように語っている。

資本の流れの管理手段は、暗号化に直面して微調整する必要があります。新興経済国はすでにデジタル資産からの“緊急かつ深刻なリスク”に直面しています。資本の流れを管理するために確立された規制ツールを適用することは、規制対象のエンティティではない新しい手段、新しいチャネル、および新しいサービスプロバイダーを通じて価値が伝達される場合、より困難になる可能性があります。

仮想通貨は従来の資本市場に、より密接に結びついているとIMFは警告しており、仮想通貨のほかにも、ハイテク株や世界の株式市場のパフォーマンス間の相関関係は、IMFが抱く懸念の原因となっている。

IMFがエルサルバドルに法定通貨としてのビットコインを削除するよう呼びかけ

2022.01.26