ディズニーがメタバーステーマパークの特許を取得
米国から世界中に夢を届ける多国籍エンターテインメントおよびメディアコングロマリットであるウォルトディズニーカンパニー(Walt Disney Company)が、USPTO(United States Patent and Trademark Office=米国特許商標庁)によって「virtual-world simulator(仮想世界シミュレーター)」特許として承認(米国特許:11,210,843号)されたことが分かった。今回取得した特許技術は、ディズニーのテーマパークにヘッドセットのない拡張現実(AR)アトラクションを作成するという。
virtual-world simulatorの特許は、2021年11月にディズニーのボブチャペック(Bob Chapek)CEO(最高経営責任者)が決済発表の場にて、メタバースの準備ができていると説明して以降、ディズニーがメタバースを今後の企業展開の視野に入れていることが判明している。同CEOは、同社は常に“最新テクノロジーの最前線”にいると強調していた。ディズニーリゾートのティラック・マンダディ(Tilak Mandadi)CSO(最高戦略責任者)は、デジタルと物理の世界を融合させるための戦略を構想したと明かしたうえで、次のように語っている。
未来は接続されたパークの経験におけるデジタルおよび物理的な障壁を超え、ストーリーテリングの新しい次元を開くだろう。これらの体験は永続的であり、ゲストの関与はパークの内外で行われます。彼らはあなたに固有ですが、社会的でつながりもあります。それらは絶えず変化しているので、常に新しい発見があります。
なお、virtual-world simulatorは、「実世界会場の3次元(3D)マップ」で構成されているとのこと。
現段階での計画はない
ディズニーは、virtual-world simulatorはすぐには動かないと述べている。ただし、特許承認に関する最新ニュースは、テーマパークのメタバースを作成するためのステップの1つと捉えられる。
現在、世界中に12の公式ディズニーテーマパークがあり、米国、フランス、日本、香港、中国にある。コロナパンデミックによる世界的な封鎖にもかかわらず、ディズニーは2021年、テーマパーク、体験、製品・購買分野で計170億ドル(約2兆円)近くの収益を得ている。基本的に、このvirtual-world simulatorは、世界中にあるディズニーの12のテーマパークの1つのクローンとなる予定とのこと。コロナ禍によって閉鎖を余儀なくされ、収益が激減したディズニーにとって、仮想体験を提供することが収益回復につながるものの、来園者確保を第一にしているとみられており、virtual-world simulatorおよびそのコンセプトについては、ロサンゼルスタイムズ社のインタビューに対し、仮想世界を立ち上げる“現計画はない”と述べていることから、やや後回しにしている可能性がある。