米国財務省、サイバー犯罪でロシアとウクライナのハッカーに制裁を課す

米国財務省がロシアとウクライナのハッカーを制裁へ

米国財務省は、ランサムウェア取引を促進した仮想通貨取引所Chatexと、そのサポートネットワークに制裁を課すと発表したことが明らかになった。

11月8日(月曜日)付けの勧告によると、OFAC(Office of Foreign Assets Control=米国財務省外国資産管理局)は、米国政府によって認定された制裁リストに、Chatex、IZIBITS OU、Chatextech SIA、およびHightradeFinanceを追加。なかでもChatexは、ランサムウェアグループの取引の促進に貢献した痕跡が賓著であり、同取引所の取引の半分以上はダークネットマーケット、ランサムウェアなどの違法または高リスクの活動に起因しているとのこと。制裁リストへの取引所の追加は、ラトビア当局とエストニア当局がそれぞれChatextechの業務を停止し、IZIBITSOUのライセンスを取り消すことに続く措置で、OFACは声明で次のようにコメントした。

Chatexのような非原則的な仮想通貨取引所は、犯罪者のために収益をロンダリングして現金化することにより、ランサムウェア活動の収益性にとって重要です。財務省は、悪意のあるサイバー攻撃者の犯罪収益を阻止し、アメリカ国民に対する影響を阻止するために、利用可能なすべての当局を引き続き使用します。


米国司法省がウクライナ国籍の容疑者2人を起訴

さらにOFACは、ウクライナ国籍のヤロスラフ・バシンスキー(Yaroslav Vasinskyi)被告とロシア国籍のヤヴゲニ・ポリアニン(Yevgeniy Polyanin)被告が、複数の米国政府機関および民間部門で多くのランサムウェア攻撃を行っていたと主張し、米司法省はこの2人を起訴した。

バシンスキー被告は、2021年7月に起きた米IT企業Kaseyaに対するランサムウェア攻撃を率いていたとされており、ポリアニン被告も、複数の米国政府機関や民間企業をランサムウェア攻撃の標的にしていたとのこと。大手メディアロイター通信の報道によると、バシンスキー被告はポーランドで逮捕され、現在米国への身柄引き渡し手続き中である一方、ポリアニン被告は現在も逃亡中とのこと。米司法省は、ポリアニン被告が関わったとされる3,000件のランサムウェア攻撃の中で、約610万ドル(約6.9億円)相当の仮想通貨を回収したことを明らかにしている。

米財務省は、ほとんどの仮想通貨取引は合法的なものであるとしながらも、仮想通貨取引所が、ランサムウェア攻撃で重要な役割を果たしていることも事実であると指摘。そのため、仮想通貨セクターおよび仮想通貨取引所が、マネーロンダリング(資金洗浄)、テロ資金調達防止(AML/CFT)の国際基準を遵守することが必要だ。