リップルがブータン中央銀行と提携でCBDC中央銀行デジタル通貨トライアル開始へ

リップルとブータン王国がCBDC開発で提携

リップル社は9月22日(水曜日)、ブータン王立財政庁と呼ばれるブータン中央銀行と提携し、CBDC(中央銀行の発行するデジタル通貨)の試験運用を開始する事を日本経済新聞が報じた。

リップルとブータン中央銀行との提携は、ブータン中央銀行の決済システムディレクターであるタシ・イェザー(Tashi Yezer)氏が、APAC地域(※1)のリップル会議で講演したことで噂されていた。

(※1)APAC(Asia Pacific Economic Cooperation=アジア太平洋経済協力)地域とは…
アジア太平洋地域の21の国と地域が、アジア太平洋地域の持続可能な成長と繁栄に向けて、貿易・投資の自由化・円滑化や地域経済統合の推進、経済・技術協力等の活動を実施参加する経済協力を行う枠組みを言い、参加国および地域にはオーストラリア、ブルネイ、カナダ、チリ、中国、香港(ホンコン・チャイナ)、インドネシア、日本、韓国、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、パプアニューギニア、ペルー、フィリピン、ロシア、シンガポール、台湾(チャイニーズ・台北)、タイ、米国、ベトナムが参加している

今回のトライアルでは、リップルの分散型台帳テクノロジーをブータンの既存の支払いシステムに統合することで、企業や個人が利用するリテール決済(※2)、銀行間の決済であるホールセール決済(※3)、さらに国際送金の実験を行っていく計画だ。

(※2)リテール決済とは…
銀行や中央銀行が提供する預金やお札の利用者の間決済を言い、は「利用者間決済」とも呼ばれている。

(※3)ホールセール決済とは…
銀行預金という決済手段の提供者の間の決済を言い、「提供者間決済」とも呼ばれている。


長い間パートナー関係だったブータン王国とリップル

ブータン王国では、CBDCを導入することで、決済や送金の効率性を高め、処理の高速化などによりコストを下げることができるほか、デジタル決済を導入して効率性や利便性を高め、金融包摂を加速させることも期待されている。

今回のパートナーシップによって、ブータンの金融包摂が85%増加すると予想されており、双方にとってさまざまなメリットがあると考えられている。今回の提携にともない、リップルのブラッド・ガーリングハウス(Brad Garlinghouse)CEO(最高経営責任者)によると、リップルはさまざまなCBDCの相互運用を可能にするプラットフォームの開発に取り組んでおり、ブータン中央銀行とは長い間、パートナー関係であったと述べた。というのも、リップル社がCBDCの分野で技術開発を行っていることは以前から明らかになっており、2021年3月にはCBDC Private LedgerというXRP Ledger(XRPL)のプライベート版のテストを行っていたことが明らかになっている。

リップルのデビッド・シュワルツ(David Schwartz)CTO(最高技術責任者)は、XRP Ledgerのフェデレーションサイドチェーンの概念を発表し、これにより中央銀行はネットワークを構築できるようになり、CDBC開発がより迅速に行えると述べている。

カーボンニュートラルに焦点を合わせた開発へ

ブータンはリップル社のサステナビリティ活動(※4)にも共感を示しており、リップルとの提携には環境面への考え方などに一致があったからとも言える。

(※4)サステナビリティ(sustainability)とは…
「持続可能性」という意味であり、企業が使この言葉を用いて表現する際には、目先の利益追求ではなく、自然環境や社会システム維持目を向けテイクと言う考えおよび活動を意味する。

ブータン王国では二酸化炭素(CO2)の吸収量が排出量を上回るカーボンネガティブを達成している国として世界的にも広く知られており、CBDC開発に対してもCO2排出量が課題となるとみられている。また、リップルのCBDC Private Ledgerは、温室効果ガスの排出量と吸収量の総和がゼロであるカーボンニュートラルであり、環境にも配慮したCBDC開発になると期待されている。