IMFがエルサルバドルに仮想通貨への依存拡大を警告
IMF(International Monetary Fund:国際通貨基金)は、ビットコイン(Bitcoin/BTC)を法定通貨として採用する唯一の国であるエルサルバドルに対し、仮想通貨への依存を拡大することに伴うリスクに対して警告した事が分かった。
IMFによる警告は、エルサルバドルとその経済に関する最終ミッションステートメントを2月10日(金曜日)付けで発表。2022年のエルサルバドルの成長は「堅調」であったものの、2021年9月、米ドルに加えてビットコインを法定通貨として採用したことにより、ビットコインとのつながりを含む脆弱性が残っていることが判明。テクノロジーに精通したナシブ・ブケレ(Nayib Bukele)エルサルバドル大統領は、この動きを、銀行口座を持たない多くのエルサルバドル人を正式な経済に引き込む方法として提唱。この変更により、エルサルバドルのすべてのビジネスは、近所の店主でさえも、支払いとして仮想通貨を受け入れなければならなくなったという。
ビットコインウォレットChivoの透明性が必要不可欠
IMFと世界銀行(World Bank)は、同国がマネーロンダリング(資金洗浄)やその他の違法行為に対して脆弱になり、基本的な安定に影響を与える可能性があると警告し、報告書の中で次のように述べられている。
これまでビットコインの使用が制限されていたため、リスクは顕在化していませんでしたが、仮想通貨の使用を促進するための新法改正により、ビットコインの使用が拡大する可能性があります。金融の完全性と安定性、財政の持続可能性、消費者保護に対する根本的なリスクは存続しています。
IMFの専門家は、エルサルバドル当局が、政府のビットコイン取引と国営ビットコインウォレットChivoの財務状況について透明性を高めることが不可欠であると指摘したうえで、次のように述べている。
法的なリスク、財政の脆弱性、仮想通貨市場の主に投機的な性質を考えると、当局はビットコインへの政府のエクスポージャーを拡大する計画を再考する必要がある。
エルサルバドル経済は2022年に2.8%成長しており、コロナパンデミックに対する政府の効果的な対応および、前例のない犯罪の減少、強力な送金と観光収入が功を奏したと報告書は述べている。しかし、IMF は、米国の顕著な減速が輸出と送金を弱体化させる可能性があると警告している。