FINRA登録ブローカーであった元投資銀行家が仮想通貨詐欺か
ニューヨークのブルックリンで、FINRA(Financial Industry Regulatory Authority:金融業界規制当局)の登録ブローカーであった元投資銀行家が、仮想通貨投資詐欺スキームの運営に関与した疑いで刑事告訴されたことが明らかになった。
ニューヨーク州ブルックリンに住むラショーン・ラッセル(Rashawn Russell)氏は、2020年11月から2022年8月にかけて、自身のR3 Crypto Fundの顧客に対して虚偽の約束をしたとされている。法廷文書によると同氏は、仮想通貨投資に資金を使用し、投資家がその投資から多額の(時には保証された)リターンを得られるという偽りの約束に基づき、複数の投資家に投資を誘導し、詐欺を行うスキームに関与。同氏は、投資家の資産の多くを不正流用し、これらの資金を個人的な利益、ギャンブル、他の投資家への返済のために使用したとされている。
ラッセル氏は20年の刑に直面
ラッセル氏は投資家の投資元本を繰り返し返済せず、約束した利回りを投資家に提供しなかったとされており、特定の投資家が投資金の返済を要求した後、ラッセル氏は自分が送金したと偽っていたとされている。
起訴状によると同氏は、投資家が安心して投資できると信じさせるために文書を捏造し、ある例では、投資家に、偽造された銀行残高のスクリーンショットを送ったとみられる。そのスクリーンショットには、約355,000ドル(約4,700万円)の残高が表示されていたが、実際にはその10倍以上の残高があったことや、投資家が資金の返還を求めた際、電信送金を偽造したとも言われている。そのため、検察が2020年11月から2022年8月にかけて行われたとする計画について、同氏は電信送金詐欺の1つの訴因で起訴されており、有罪判決を受けた場合、最高刑は懲役20年となるとのこと。
一方で、起訴状によると同氏は2018年7月から2021年11月まで、文書で特定されていない金融機関で投資銀行家として働いていたとされ、LinkedInのプロフィールには、2018年7月にドイツ銀行の投資銀行アナリストとなり、2020年7月にアソシエイトに昇格したと記されている。ブルックリンの連邦検事であるブレオン・ピース(Breon Peace)氏は、次のように述べている。
ラッセルは仮想通貨投資の需要を、多数の投資家を欺く計画に変えた極めて悪質な犯行である。
ドイツ銀行は声明で、進行中の法的手続きについてコメントしないものの、認可された調査や手続きに適切に対応し協力することを含め、法執行機関や規制当局の監督努力を定期的に支援している。