米国国土安全保障省が米国市民のデータ分析でCoinbaseと契約
米国の大手仮想通貨取引所であるCoinbaseとDHS(United States Department of Homeland Security=米国国土安全保障省)は、米国政府が取引所のサービスを使用して米国市民のデータを分析できるようにするための契約を結んだことが明らかになった。
公式文書によると、国境を越えた犯罪と不法移民を専門とする米国国土安全保障省の支部である移民税関局は、Coinbaseの分析ソフトである、CoinbaseAnalyticsソフトウェアのライセンス料として136万ドル(約1億5,000万円)を支払ったとのこと。DHSとの契約は9月16日(木曜日)に開始され、2022年9月までの2年間の契約となっており、最低で45.5万ドル(約5,000万円)、最大で136.5万ドル(約1億5,000万円)が支払われる予定とのこと。
CoinbaseAnalyticsでデータ分析をすると違法アカウントが特定可能に
CoinbaseAnalyticsを利用することで、ビットコインやイーサリアムなどのブロックチェーンデータを分析し、違法なアカウントを特定できる。
今回の契約はCoinbaseの長い歴史の中でも重要な契約とみられており、公式文書によると、Coinbaseがどの情報を分析または共有するかについては何も語られていないとのこと。Coinbaseの分析ツールに関しては、DEA(Drug Enforcement Administration=米国麻薬取締局)やIRS(Internal Revenue Service=内国歳入庁)も関心を示しており、これらは人気仮想通貨モネロ(Monero/XMR)の匿名化ツール開発のためにChainalysis(チェイナリシス)に625.000ドル(約68,000円)を支払っている。
Coinbaseが米国政府と協力することについては、過去にも大きな批判を集めており、今回のCoinbaseAnalyticsソフトウェアの提供にも物議をかもすと予想されている。それでもCoinbaseのブライアン・アームストロング(Brian Armstrong)CEOは長年、米国政府との良好な関係を保持し続けているため、今後もなんらかの形での協力があるのではないかとみられている。
その一方で、CoinbaseAnalyticsの提供については、プライバシーの問題を提起するユーザーも多く、AML規制(※マネーローンダリング防止対策)により顧客に関する個人情報を収集し、Coinbaseの顧客取引を追跡し、その個人情報と公開データを法執行機関に販売していると捉えているようだ。これに対して、CoinbaseのアームストロングCEOは次のように説明している。
今回のCoinbaseAnalyticsについて記事をいくつか見ましたが、それについての私の考えを共有しようと思います。ブロックチェーン分析ソフトウェアは、基本的に、ブロックチェーン上にすでに存在する公開データをコンパイルするだけのものです。また、ブロックチェーン分析ソフトウェアの既存の市場があるため、少数の人々には販売も行なっているデータです。