テザー(Tether/USDT)が過去最高時価総額に到達
2023年6月1日(木曜日)、ステーブルコイン発行会社テザーは、2022年5月に樹立されたドル連動トークンUSDTの時価総額832億ドル(約11.55兆円)の記録を超え、過去186日間で、27.15%上昇し、832億3,000万ドル(約11.56兆円)に到達した事が分かった。
テザーは、ステーブルコインのこれまでの最高時価総額を超えた。時価総額の前回のピークは、テラ(Terra)の以前のステーブルコインUSTが2023年5月9日にペッグを失う直前で、同日にUSDTの時価総額は832億ドルであったものの、2022年6月1日までに720億ドル(約1兆円)まで減少。FTXの破綻を受けて、USDTの市場評価額は2022年11月末時点で654億3,000万ドル(約9丁円)にまで落ち込んだ。
USDT の時価総額は、流通するテザートークンの数と並行して増加してきた背景があり、過去6カ月間でUSDTの供給が拡大し、市場評価が27.15%(約2.4兆円)上昇。同時に、USDC、BUSD、DAIなどのトップステーブルコインは供給量の大幅な減少を経験している。ステーブルコイン経済全体の時価総額は現在、2021年9月以来の最低水準にある。
USDTの循環供給量が過去最高に
活動レベルに基づいて、より多くのテザートークンがイーサリアム(Ethereum/ETH)およびトロン(Tron/TRX)ネットワーク内で流通する。
なお、Tron はスマートコントラクトプラットフォームであり、イーサリアムのライバルである。イーサリアムにおける手数料の変動とスケーラビリティの問題により、ユーザーは代替プラットフォーム、主にトロンでUSDTを取引することを余儀なくされているのが現状だ。6月1日時点で、全USDTの50%以上がトロンで流通している。
オンチェーンデータは、461億ドルを超えるUSDTがTronにTRC-20トークンとして存在していることを示している。トロンの総額は、過去 24 時間だけで累積 2,272,188 件の送金を投稿した 26,001,516 件のアドレスに分配された。一方、イーサリアムにはERC-20規格に準拠したUSDTが362億8,000万ドル相当あり、この金額は4,427,642個の固有のアドレスに分配され、合計で1億8,8122,012回の送金が記録された。
競合するステーブルコインの現状
トラッカーは、2番目に流動性の高いステーブルコインであるサークル社発行のUSDコイン(USDCoin/USDC)流通供給量が28,853,137,492ドル(約4兆円)であることを示している。
USDC は USDT と同様に法定通貨の支援を受けているが、デロイトのようなトップ4の監査法人が正式に監査していないテザーとは異なり、USDCは完全な監査を受けており、毎月その準備金の証明書を公開している。
最近のテザー使用量の増加が、仮想通貨市場の好転への準備を示しているかどうかは不明ではあるものの、現在、ローソク足の形成は、ビットコイン、イーサリアム、その他のトップ10の仮想通貨が圧力を受けており、2023年4月の高値から2桁の損失を記録していることを示唆している。