Binanceに対する米国の調査は、インサイダー取引を調査するために拡大へ

米国規制当局がBinanceに対してインサイダー疑惑で調査拡大

米国大手メディアのBloomberg(ブルームバーグ)の報道によると、CFTC  https://www.cftc.gov/ (米国商品先物取引委員会)は、インサイダー取引や相場操縦の可能性を調べるため、人気仮想通貨取引所のBinanceへの調査を拡大したことが分かった。

ブルームバーグのレポートによると、Binanceや同取引所スタッフが、非公開のインサイダー情報を使用し、相場操縦を通じて不法に利益を獲得した可能性があるとのこと。米国当局は、以前からBinanceが米国内で未登録でデリバティブ商品を販売した疑いで調査を行なっており、デリバティブの販売を示す可能性のある内部Binanceデータを探していたという。しかし、今回はそれらに加えて、IRS(米国内国歳入庁)とDOJ(米国司法省)も、Binanceでのマネーロンダリングの可能性を調査するため、Binanceサーバーの場所などより詳しい調査へと調査範囲を拡大した。

潔白をアピールし続けるBinance

規制当局による調査範囲の拡大と監視強化に対し、Binanceの広報担当者はブルームバーグに対し、Binanceはインサイダー取引に対するゼロトレランスアプローチと、それらの行動を防ぐための倫理規定とセキュリティガイドラインを設けていると主張。

ゼロトレランスアプローチとは、わずかな不具合も見逃さず、細部まで罰則を定め、万が一それに違反した場合は厳密に処分を行うというものであり、インサイダー取引への対策をアピールした。規制当局は、仮想通貨取引所の消費者保護の欠如に関してかねてより懸念を抱いており、Binanceでインサイダー取引が明らかになった場合、米国内における仮想通貨関連の大きな取り締まりとなる。そのため、Binanceはインサイダー取引への疑いを晴らすべく説明責任を果たし、米国の投資家や他の仮想通貨取引所への信頼を回復する必要がある。

実際、Binanceは世界中の規制当局から調査の対象になっており、日本のほかに、シンガポール、イギリス、ブラジル、リトアニア、香港、イタリアなどの規制当局がBinanceに対して警告を発している。また、これらの影響によりシンガポールドル、韓国ウォン、オーストラリアドル、ユーロ、英ポンドなど仮想通貨と特定の通貨ペアを取引所から削除するなど影響が出ている。

しかしその一方で、Binanceはこれまで詐欺、インサイダー取引、またはマネーロンダリング(資金洗浄)に関する問題を起こしたことはないと一貫した主張を繰り返している。Binanceのジャオ・チャンポン(Changpeng Zhao:趙長鵬)CEOは、世界的なライセンス取得の目標を達成するため、世界中の規制当局と協力していく姿勢を明らかにしており、今後の動向が注目されている。