DAI値上りで担保清算
ステーブルコインDAIの価格が一時的に上昇し、トラッカーLoanScan(Defi利率比較ツール)によると、このプロトコルは1億300万ドル相当を強制的に清算したことが分かった。
また、市場でも約800万ドル相当のDeFiプロトコルおよびレンディングプラットフォームであるdYdXで清算したことが分かり、両清算合わせて、1億1,000万ドル、約108億円以上の担保を清算したことになる。
LoanScan「collateral liquidated(担保清算)」より画像引用
では、DAIの値上げはどの程度清算につながったのか、Compoundを使用すると、ユーザーはDAIを含む資金を借りることが可能になる。借入額は常に提供された担保よりも低くなければならないが、これはすべてのローンが過剰担保されるべきであることを意味している。
本日清算されたケースの場合、清算は、DAIの価格がCoinbase(コインベース)Compoundの価格が一時的に30%上昇。これにより、DAI借入ユーザーが担保不足になり、強制清算につながったとみられ、Compound側ではなく、価格参照オラクルの仕組みそのものに原因があるとみられている。
今回のDAIの価格上昇は、提供された担保と比較して、コンパウンドで借り入れたDAIの価値も上昇させる結果となった。
例えば、Compoundユーザーが最初に1,000DAIを1DAI、つまり、計1,000ドルで借りたと仮定する。ローン期間中にDAIが1.3ドルに値上りすると、ユーザーの借入額は1,300ドルに増加したことになる。ただし、ユーザーの担保が1,300ドル未満の場合、Compoundはこのローンを担保が不足していると見なし、他のユーザーが清算できるようにしてくれる仕組みだ。
清算は、COMPトークンのイールドファーミング(※1)に影響を与え、4,600万ドルを失ったユーザーもいる。(※1)イールドファーミング(Yield Farming)とは、イールド(Yield)は”利回り”、ファーム(Farming)は”耕す”を意味しており、レンディングやDEX(分散型取引所)など、DeFiサービスに資産を貸出しまたは提供することを言い、金利や手数料収入を得る運用モデルとして注目されている。
コンパウンドでこのような大規模な強制清算が初めて実施されたことは注目に値する。
これまでのケースでは、プロトコルでの最高の1日清算は少なく、LoanScanによると、2020年7月にCompoundは630万ドル、約6億5,000万円相当の強制清算。dYdxについては、2019年11月に約860万ドル、約9億円の強制清算が行われている。MakerDAOやAaveなど、他のDeFiプロトコルでも、市場状況による強制清算が行われており、MakerDAOは3月のブラックサーズデイイベント中に1,500万ドル相当、約15億5,000万円のDAIを強制清算。Aaveでも今年の8月に2,000万ドル、約20億円相当のチェーンリンク(Chainlink/LINK)を強制清算している。