ロシア中央銀行、2021年末にデジタル通貨をテストする可能性を示唆

ロシア中央銀行は、自国通貨のデジタル版であるデジタルルーブルが2021年末までにテスト段階に入る準備ができていることが、地元紙の報道で明らかになった。ロシア中央銀行のNabiullina総裁はデジタル通貨発行に関して、インフレ、借入金利、外国為替販売についても取り上げており、デジタルルーブルの有用性を語った。

ロシアは以前から独自のCBDC(中央銀行デジタル通貨)のリリースについて非常に高い関心を持っており、ロシア中央銀行は今月、CBDCについて、支払いをより速く、簡単、安全にし、現金と同じようにデジタルルーブルをオフラインで使用できるようにすると報告している。

ロシアのデジタルルーブルが目指すもの

デジタルルーブルはすべての経済主体が利用可能な支払い手段、価値の物差し、価値の保存という3つの機能を備えることを想定しており、CBDCは、現金と非現金貨幣に加えて、第三の貨幣形態を目指しているようだ。さらに報告書によるとデジタルルーブルは、金融インフラへのアクセスが制限された、人口が少なく、到達が困難な遠隔地の人々により大きな恩恵を与えることになるとしている。

CBDCは米ドルやユーロなど、国の法定通貨に固定されたデジタル通貨であり、政府または中央銀行によって一元化および管理されているため、ロシアで厳しく規制されているビットコインのような仮想通貨とは異なる性質を持っている。

というのもロシアでは、仮想通貨に関する取引が最近まで違法とみなされており、仮想通貨取引が合法化された今でも商品やサービスの決済に使用することはできないと定められている。そのため、商品やサービスの支払い、団体や州への支払い、送金、金融商品取引の支払いなど使用できるデジタルルーブルのようなCBDCは、大きな需要を秘めていると考えられている。

各国のデジタル通貨構想

また最近では、世界中の国々がCBDCに高い関心を持っており、世界の中央銀行の大多数はCBDCの開発や実証実験を開始しているが、完全に機能するCBDCを実用化させている国はまだないのが現状だ。

その中でも中国はCBDCのプロセスの中で最も進んでおり、デジタル人民元をいくつかの地域でテストしている段階であり、最も実用化に近づいている。2020年に入ってから、各国のデジタル通貨開発競争が熾烈を極めているが、ロシア政府はデジタル通貨には多くのメリットがある一方で、通貨が流出するリスクも指摘している。