中国人民銀行「デジタル通貨は国際金融の“新たな戦場”」
中国人民銀行(PBOC)が運営する雑誌「China Finance(チャイナ・ファイナンス)」に掲載された記事によると、デジタル通貨の発行・流通は、主権国間の競争の「新たな戦場」になるという。ロイター通信が報じた。
これは、中国がデジタル人民元(DCEP)を発行して米ドルへの依存を減らす最初の国にならなければならないとのことで、中国には、デジタル通貨を発行する上で多くの利点とその機会があると考えているようで、デジタル通貨の電子決済またはDCEPが人民元に有利な国際金融におけるドルの役割を弱体化させるという。
というのも、経済的課題に満ちたパンデミック後の状況では、PBoCが発行したデジタル通貨からのデータフィードバックは、国の金融政策にとってなおさら有益であるとの考えを示している。これに加えて、中国はこれまでにデジタル人民元の開発を行ってきた広範な研究と、仮想通貨の発行、流通および、関連アプリ全体で130の特許出願を行なっており、これが最終的に中国のDCEPをサポートするサプライチェーンを形成することを目的としている。
中国人民銀行の研究部門は2015年に初めて設立され、プロジェクトは2020年に急速に進展を遂げており、通貨のデジタルウォレットテストが中国の国営商業銀行によって進行中だ。また8月に上海、北京、広州、香港での4億人、または国の人口の約29%を含むデジタル人民元の試用を発表している。
さらに、PBoCは2022年の冬季オリンピックでデジタル元を使用することを計画しており、デジタル通貨発行の世界的な競争の中で、北京が最初のトラックをつかむことを目論んでいるようだ。
最近、中国と米国はデジタル通貨競争を超えて、ブロックチェーンの研究開発の分野でも熾烈な競争を行っており、その先行きが注目されている。実際に先週発表されたレポートによると、中国企業のアリババが今年これまでに最も多くの特許を出願しているにもかかわらず、米国が現在ブロックチェーン特許が最も多い国として主導権を握っていることも明らかになっている。
デジタル通貨の覇権争いは中国人民銀行が言う通り、国家間の「新たな戦場」の様相を呈しており、既存の金融にも大きな影響を与えることになるだろう。