野村総研が日本初のデジタルアセット債を発行へ

野村総研が日本初のデジタルアセット債を発行へ

野村ホールディングス(HD)傘下の野村証券と野村総合研究所(NRI)が3月30日、ブロックチェーン(分散型台帳技術)を活用した初の債権を発行したと発表した。「デジタルアセット債」と「デジタル債」の2種類で、起債額は3000万円。ブロックチェーン基盤を活用した社債原簿の管理と、従来型の社債で困難だった発行者による社債権者の継続的な把握ができる。

2社が3月30日に発表した内容によると、2種類の債権とも発行体はNRI。両方ともブロックチェーンで売買記録を追跡でき、債権を保有する投資家をリアルタイムで把握できる。野村証券とNRIが2019年9月に設立した共同出資会社のBOOSTRYが提供するプラットフォーム「ibet」を活用している。

デジタルアセット債は、社債発行手続きの一部を電子化する新開発のアプリケーション(応用ソフト)を利用した自己募集形態を採用。NRIが投資家を直接勧誘するもので、企業が資金を調達する従来の目的に加えて、投資家がその債券に付随するポイントを買い物などに利用できる仕組みが設けられている。社債原簿とデジタルアセットをブロックチェーン技術で管理することで、事務を簡素化できる。

デジタル債は証券引き受け形態を採用し、利息を金銭のみとする。デジタルアセット債と同様にブロックチェーン技術を活用して社債原簿の管理を行うとともに、従来型の社債と同様に流通市場を確保しつつ、従来型の社債では困難だった社債権者の継続的な把握を可能にする。

野村総研などは、今回の社債発行を契機に、小口・個人向け社債のオンライン販売など、新たな可能性の追求をしていくという。今回の社債発行を雛形として、航空会社やコンビニエンスストアなど幅広い業種の横展開も図る。また、野村資本市場研究所は同日、野村グループや法律事務所、金融、商社など15社が参加する「金融市場におけるブロックチェーン技術の活用等に関する研究会」を設立したと発表。実務経験者と学識経験者の産学連携で進め、4月20日に第1回会合を開く。