米国下院議員、コロナウイルスの景気刺激策にデジタルドルを提案

米国下院議員、コロナウイルスの景気刺激策にデジタルドルを提案

コロナウイルスによる景気低迷が広がる中、米国の下院議員がパンデミック対策を目的とした景気刺激策の一環として、中央銀行デジタルドルの発行を提言していることが判明した。同院のナンシー・ペロシー議長が23日に発行した草案の中で、同国の中央銀行に当たる連邦準備制度理事会(FRB)の負債勘定を記録するために、デジタル台帳に反映するドルバリューとして記入される「デジタルドル」の導入を提案。デジタルドルは、FRBから専用のデジタルウォレットを通じて国民に支払われるもので、政府主導な直接的な景気押し上げ策となる。

今回提案されたデジタルドルは、FRBで議論の俎上に上がっている、ブロックチェーンを活用したデジタル通貨とは異なる。草案では、「連邦準備銀行の口座のドルと同等の残高を意味し、連邦準備銀行の口座に債務として記録されるデジタル台帳の項目。もしくは適格な金融機関(連邦準備制度理事会の決定)で償還可能な電子的価値単位」と定義するなどし、一般的な仮想通貨ではなく、給付型助成金のデジタル版であることを示した。

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2020.03.17

草案では、年収7万5000ドル(約830万円)未満の成人に月額2000ドル(約22万円)、未成年者には1000ドル(約11万円)の給付が見込まれる。コロナウイルスの蔓延による企業の操業停止が相次いでるのに伴い、自宅待機が余儀なくされたり、失業に追い込まれたりしている個人や家庭の救済資金に充てられる計画だ。なお、デジタルドルだけでなく、小切手での支払いも検討されている。

具体的な構想として、FRBが、システム全体の保守管理を担い、ウォレットを個人認証に紐づけられる電子端末を介して利用できるよう設計。さらに、FRB加盟銀行を利用する国民が「パススルーデジタルドルウォレット」というツールを利用することで、米政府の入金した資金へのアクセスを可能にする。

草案は1119ページに及ぶものだが完成版ではなく、最終的に1400ページに到達する予定。まだ国会に提出されていないが、草案の状況や修正次第で、正式に提出される可能性がある。また、今回の草案の他に、民主党のラシダ・トレイブ下院議員が、米国の全国民にプリペイドのデビットカードを提供する「Automatic BOOST to Communities Act」を提案している。