仮想通貨リブラ、2020年実現は不可能か
米フェイスブックが主導する仮想通貨「リブラ」の発行開始が、ホワイトペーパーに明記した当初の2020年で実現するかどうか不透明になりつつある。米ネット通販大手のイーベイや米決済サービス大手のビザが11日、発行団体となるリブラ協会への加盟を見送ると表明したためだ。同協会の会員がプロダクトの具体的内容に対して明言を避けているほか、リブラ自体に制度上の問題があることが明らかになっており、先行きにますます暗雲が垂れ込めている。
イーベイの担当者は11日の声明で明らかにした。「「(リブラの)設立メンバーとして前進しない決定を下した。リブラ協会のビジョンを非常に尊重している」とし、将来の協会参加の意思をほのめかせたものの、現段階では自社のサービス拡大に注力するとの発言にとどめた。
他方、リブラ協会の役員の1人、パトリック・エリス氏は、報道各社の取材に対し、「現段階では、マーケットやプロダクト、あるいは実際にどのように展開するのか。具体的な戦略はない」と発言。プロジェクト進行が滞っていることを示唆した。
リブラの立ち上げに規制の壁が立ち上がる
フェイスブックは2020年6月のサービス開始を予定しているが、同社のリブラ担当責任者デビッド・マーカス氏を含む関係者は、規制上の問題で開始が遅れる可能性があるとの見方を示している。さらに、制度上の問題が存在している。
米連邦準備制度理事会(FRB)のラエル・ブレイナード理事は、「リブラを裏付ける通貨バスケットには明確さがより必要で、そのモデルは実証されていない」と発言。さらに、「(リブラの)準備金の運営、そしてネットワーク内の様々な参加者の権利や責任の明確さの欠如によって、さらに悪化する可能性がある」と指摘した。
批判が相次ぎ、状況が激しく変化しているとはいえ、リブラ自体の開発は進んでいる状況だ。リブラ協会が17日に発表したロードマップ第2弾によれば、メインネットの全ての主要機能の設計を完了。今後のロードマップでは、メインネットの立ち上げに向けた準備を進めていくとしている。