米仮想通貨取引所Bittrex、イランユーザーに凍結していた仮想通貨を返却

米仮想通貨取引所Bittrex、イランユーザーに凍結していた仮想通貨を返却

米仮想通貨取引所Bittrex(ビットトレックス)が、イランのユーザーに対し、2年前に米国の規制当局の指示を受けて凍結していた仮想通貨を返却するようだ。

ビットトレックスのユーザーの1人が11月8日に発行したツイートによると、イラン国内でビットトレックスが、米国政府の経済制裁対象国であったことを背景に2017年10月に凍結した資金をユーザーに返還する旨を記載した通知書を送り始めているという。また、ビットトレックスはユーザーに米国の規制当局から資金を別の取引所に移す許可を得たとしている。

その一方で、移動先は米国の制裁対象外の国のウォレットや取引所に限られるとのことだ。資金を移せる詳細な要件は以下のように定義している。

  1. イラン、シリア、キューバ、ウクライナのクリミア地方にない
  2. 米国財務省の外国資産管理局の管轄の対象外
  3. 現在、米国の経済対象国ではない、取引所、ウォレットのみ資金を引き出すことができる

資金を移動できる要件に加え、いくつかの諸要件もある。ユーザーは、2020年3月15日までに資金引き出しの手続きを完了する必要があり、その際に追加の身分証明手続きを受けることが求められる。

さらに、仮想通貨の残高がウォレットの最低引き出し額を下回るユーザーは引き出すことができないとしている。

ビットトレックスだけでない、イランユーザーのアカウントを凍結した取引所

ビットトレックスは、イランのユーザーアカウントを無効にした唯一の仮想通貨取引プラットフォームではない。ピアツーピア(P2P)型の仮想通貨取引所ローカルビットコインは5月下旬、同取引所を拠点に置くフィンランドの金融規制の準拠を名目に、イランに住むユーザーの利用を停止した。

米国の取引所コインベース、世界最大の取引所バイナンスも現在、イランに拠点を置くユーザーに対し、サポートをしていない。

なお、仮想通貨取引に関し、厳しい措置が講じられている国はイランだけではない。マルタに本拠を置くビットトレックス国際部門であるビットトレックス・インターナショナルは10月中旬、ベネズエラおよび、その他30カ国での事業を停止すると発表。同社は、ベネズエラのユーザー全体に、明確な理由を挙げずにサービスを停止するとしている。

政情不安を背景に、米国政府のみならず、仮想通貨取引所からの厳しい措置が続くイラン、ベネズエラの両国だが、そうした情勢は当面の間、変わりそうになさそうだ。

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