中国の独自仮想通貨が、完成間近か

中国の独自仮想通貨が、完成間近か

2019年8月10日に行われた第3回China Financial 40 Yichun Forum(CF40)にて、中国人民銀行(PBOC)の決済部門副長Mu Changchun氏が講演を行い「2014年から5年間続けられた中国の中央銀行が発行するデジタル通貨(DC/EP)の研究は、その努力が実を結んだ。現在、中央銀行のデジタル通貨は準備ができている」と発表

なお、中国人民銀行前総裁であるZhou Xiaochuan氏は、2018年の記者会見にて「DCはデジタル通貨、EPは電子決済である」と説明。さらに、デジタル通貨を研究することは、お金に特定の技術的ソリューションアプリを実装するのではなく、小規模決済の利便性・決済や送金の速度と低コスト化を追求することだと強調。

Mu氏はDC/EPとM0(流通している紙幣と硬貨)の変換に注意する必要があるとしている。M0は簡単に偽造され、マネーロンダリングやテロの資金調達の手段にされる可能性がある。かと言って、電子決済はあらゆる決済を完全にカバーすることはできない(通信ネットワークが整備されていない地域の人々は、未だに現金決済に依存している)。

問題クリアのために

中央銀行のデジタル通貨発行には、上記問題を解決するため、2層のオペレーティングシステムを採用した。中央銀行はまず始めにデジタル通貨を銀行などの金融機関に発行し、次に一般に発行する。この2段階の運用構造には、以下の4つのメリットが挙げられる。

もし1段階の運用構造を採用した場合、広大な領土と人口を抱える中国の、その中央銀行が、すべての国民と直接やり取りをするのは大きな負担になるが、それが解消される。
2段階の運用構造にすれば、人的資源でも技術面でも優れている商業銀行が、メリットを最大限に活かして最適化してくれる。
さらに、2段階運用構造なら、リスク(オペレーショナルリスクやビジネスリスクなど)が中央銀行に集中することを回避できる。
1段階運用構造では、商業銀行の預金よりも優れている中央銀行のデジタル通貨が、財務上の混乱を発生させ、最悪の場合は既存の金融システムを崩壊させかねないが、それが回避される。

北京師範大学金融研究センター所長Zhong Wei氏は、中央銀行のデジタル通貨は個人向け・小売業向けに開発されたものであり、卸業や大量の資金を運用する機関、大規模決済には影響しないと説明している。中国の仮想通貨は、前総裁Zhou氏の述べた通り、市民レベルでの生活改善の鍵となるようだ。

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2019.07.28