カナダのステーブルコイン規制案:利回り・報酬を禁止し、償還手数料を1%に制限

カナダ政府が提示した新たなステーブルコイン規制の枠組み

カナダ政府および財務省は、カナダ官報(Canada Gazette)において、法定通貨に連動するステーブルコインを対象とした新たな規制案を公表した。

この案は2026年3月に国王裁可を受けたStablecoin Act(ステーブルコイン法)の具体的な施行ルールを定めるものであり、中央銀行であるカナダ銀行が監督および遵守の確認を担当する。施行時期は2027年後半が見込まれており、現在は12月23日を期限とする60日間のパブリックコメント(意見公募)を実施中だ。

なお、本法の導入時点で既に営業を行っている発行体に対しては、カナダ銀行への登録を完了させるための30日間の猶予期間が用意されている。

保有インセンティブの全面禁止と銀行業界の反応

規制案における最も重要なポイントは、ステーブルコインの保有に対する利息や利回り(インセンティブ)の提供を禁じている点だ。この禁止規定は直接的な利息付与にとどまらず、第三者との収益分配契約や、発行者が利回り提供者のコストを負担する形をとった迂回(うかい)ルートにも厳格に適用される。

こうした措置の狙いは、ステーブルコインを従来の銀行預金や利息付き金融商品と明確に区別し、金融システムを保護することにある。カナダ銀行協会も「ステーブルコインの報酬が銀行預金からの資金流出を招く恐れがある」として本方針を支持。一方で、長期保有を促す報酬は制限されるものの、実際の利用や取引行為に伴う決済インセンティブについては付与が認められる見通しだ。

例外的な動きとして、コインベース・カナダ(Coinbase Canada)は適切な情報開示を条件に、オンタリオ州証券委員会から特定のトークン報酬提供に関する個別認可を取得している。また、国内銀行大手6行による共通のトークン化預金システム構想や、テトラ・トラスト(Tetra Trust Company)によるカナダドル連動型コインCADDの発行など、民間金融機関による独自の取り組みも進行している。

準備金要件と償還プロセスの標準化

顧客の保護および安定性の確保に向け、発行者には流通する全ステーブルコインと同等の全額準備金の保持が課される。準備資産は国内の認可金融機関(銀行、信用組合、信託会社)へ預け入れ、その内訳は現金、3カ月以内の短期限国債、翌営業日物リバース・レポ取引、ならびに適格資産限定のMMF(マネー・マーケット・ファンド)に制限される。

保有者から償還請求が行われた場合、発行者は最低金額の制限を設けず、3営業日以内に1対1の割合で法定通貨に換金対応しなければならない。償還手数料の上限は1%に設定された。実際の市場実勢(0.1%程度)よりも上限が高めに置かれた背景には、小規模な新興発行体に対する過度な参入障害を防ぐ配慮がなされている。

なお、決済サービスとしての性質を備えた事業者は、Retail Payment Activities Act(小売決済活動法)による規制も受けることになる。国際的な展開や他国の動向、例えば米国の全米銀行協会による利回りルールの抜け穴指定に関する議論などが交錯するなか、カナダにおける新たなデジタル法制の整備は、今後のWeb3金融の進路を大きく左右するものとなる。

 

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