EU、新たなMiCA規則に基づくDeFi融資の厳格化を銀行監督当局が要請

EU域内におけるDeFi融資の厳格化を銀行監督当局が要請

EBA(欧州銀行監督機構)EBAは欧州委員会に対し、従来の枠組みでは十分にカバーされていなかった貸付・借入活動やDeFi(分散型金融)への接続サービスを規制対象に含めるよう強く求めており、今後の法改正に向けた具体的な提言をした。

EBAが引用した最新の調査によると、少なくとも16のEU加盟国においてすでにさまざまな暗号資産レンディング活動が活発に行われていることが確認されている。しかし、2024年12月30日に全面施行されたMiCA(暗号資産市場規制)は、主に暗号資産発行者や特定の暗号資産サービスプロバイダー(CASP)を対象としており、現行の既存サービスカテゴリーにおいてはレンディングや借入の領域が完全には網羅されていなかった。

このような背景から、欧州議会も政策提言の中でDeFiやレンディングを重要な規制課題として位置づけており、分散型金融やステーキング、さらにはNFT(非代替性トークン)やトークン化された金融資産を含めた包括的な見直しの必要性を指摘している。

EBAの最新の勧告は、こうした議会の動きをさらに具体化し、欧州委員会に対して法改正のための費用対効果分析の実施を促すものである。

DeFi融資へのアクセスと仲介業者への規制強化

中央集権型の暗号資産レンディング業者にとどまらず、今後は一般の顧客を分散型融資プロトコルに接続する暗号資産サービスプロバイダー(CASP)の役割も大きな焦点となっている。

EBAは、暗号資産企業やAI(人工知能)ツールの普及によって中央集権型金融と分散型金融の境界線が曖昧になってきていると警鐘を鳴らしており、ゲートウェイとして機能する企業に対して何らかの新しいルールが課される可能性があるとしている。

具体的に検討されている対策案としては、サービスを利用するユーザーの適格性審査の徹底、過度なリスクを防ぐためのレバレッジ制限、および詳細な情報開示要件の義務化などが挙げられている。また、中央集権的な仲介を介さない純粋なDeFiレンディングプロトコルに対しても、何らかの認証制度を導入することが選択肢の一つとして議論されている。

さらに、マルタの金融規制当局なども、DAO(自律分散型組織)やDeFi事業体に関する新たな分類の必要性を提案しており、プロジェクト側が謳う“完全な分散化”の基準が実際には満たされておらず、特定の管理者に権限が集中しているケースが多い点を問題視している。

EUレベルでも、プロトコルがインターフェースやガバナンス構造を通じてどのように中央集権的な企業に依存しているかを見極め、分散化の度合いを正確に評価する手法の模索が続いている。

ステーブルコイン融資と準備預金に対する精査

レンディングに関する議論において、もう一つの大きなテーマとなっているのがステーブルコインの扱いだ。

EBAは、資産参照トークン(ART)や電子マネートークン(EMT)を用いた融資商品について、MiCAに基づく厳格な認可が必要となる可能性を示唆。この動きに呼応するかのように、ECB(欧州中央銀行)からも、トークン保有者に間接的な利回りや収益をもたらす貸付、借入、ステーキングといった仕組みをステーブルコイン報酬に関する規制の対象に含めるべきだとの主張がなされている。すでに一部の暗号資産プラットフォームでは、MiCAの本来の想定を超える商品構成によってステーブルコイン由来の収益を生み出している実態があり、当局はこうした抜け穴を塞ぐ構えだ。

またEBAは、資産参照トークンおよび電子マネートークンの発行者に対する従来の要件はおおむね妥当と評価しつつも、第三国における複数発行者によるスキームについては見直しを勧告。加えて、発行者が銀行預金として維持すべき最低準備預金額についても、適切なリスク管理体制を維持しつつ見直す方針が示されており、金融システムの安定化に向けた多角的な調整が進められている。

業界への影響と今後の展望

現在、欧州委員会によるMiCAの包括的な見直しに向けた意見募集プロセスが進行中であり、市場参加者やテクノロジー企業、公的機関などからのフィードバックが反映される予定となっている。

これまでの企業の中には、規制の隙間を利用してドイツなどの規制認可パートナー企業を介し、カストディや仲介サービスを合法的に展開する一方で、自社のEarn商品や暗号資産担保融資サービスをMiCAやMiFID(金融商品市場指令)の対象外として個別に提供する動きも見られた。

しかし、EBAをはじめとする規制当局の提言が正式に法改正へとつながった場合、こうした暗号資産サービスプロバイダーのビジネスモデルや提供スキームの再構築が不可欠となる。

融資規制の強化だけでなく、暗号資産の法的な分類の明確化や、他のEU金融法との整合性確保、事業者に対する報告義務の厳格化など、欧州の暗号資産市場を取り巻く環境は大きな転換点を迎えている。欧州委員会が今後どのような法的措置に踏み切るのか、業界全体からの強い関心が寄せられている。

 

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