バイナンス、1,000銘柄以上の米国株・ETF対象オプション取引を開始しTradFi事業を拡大

バイナンスが米国株・ETF対象オプション取引を開始

バイナンス(Binance)は2026年9月1日(火曜日)、米国以外の適格ユーザー向けに1,000銘柄以上の米国株式およびETF(上場投資信託)を対象としたオプション取引「=Binance Stock Options」の提供を開始した。

Tesla(テスラ)やNVIDIA(エヌビディア)といった注目銘柄のコール・プットオプションを取り扱い、暗号資産プラットフォーム上で総合的なTradFi(伝統的金融)環境を構築する取り組みを一層加速させている。

現物受渡方式と強固なバックエンド構造

このサービスの最大の特徴は、従来のデリバティブのような現金決済ではなく、権利行使時に実際の株式を受け渡し・保有する“現物受渡(フィジカル・セトルメント)”を採用している点だ。これにより投資家は、単なる価格変動による損益受取を超えて、バランスシート上の実質的な株式保有が可能になる。

運用の枠組みには大手ブローカーのインフラが活用されている。ADGM(Abu Dhabi Global Market:アブダビ・グローバル・マーケット)の規制下にあるバイナンス傘下の「Nest Trading Limited」が紹介ブローカーを務め、注文は米国の自己清算型ブローカーAlpaca Securities LLC(アルパカ セキュリティーズ LLC)へルーティングされる。Alpacaが売買の約定、清算、決済、および購入後の株式の保管(カストディ)を一貫して担う仕組みだ。

サービス仕様と初期段階の利用条件

提供開始の第1段階では、リスク管理と市場の整合性を重視した明確な制限が設けられている。

取引スタイル:「買い(ロング)」のみ可能(コール・プットの購入が可能で、売却やショート構築は不可)。
注文形式・時間:指値注文(リミット注文)限定。米国の株式市場時間に準拠(東部時間9:30~16:00/一部ETFは16:15まで)。
決済と口座管理:オプション料(プレミアム)は専用の資金用口座からUSDC、USDT、BNBなどで支払う。

急成長するTradFi分野と競合他社の動き

今回のローンチ背景には、暗号資産ユーザーによる伝統的金融商品への爆発的な需要増加がある。

バイナンスにおけるTradFi関連の無期限先物取引高は、2026年1月の295億ドル(約4.7兆円)から8月には約4,334億ドル(約69.4兆円)へと約15倍に拡大し、その約8割を株式連動型が占めた。

同社はすでに現物株式取引や金・銀オプション、トークン化証券(bStocks)を展開。今回のサービス追加によって暗号資産と伝統資産を単一アカウントで管理できる「スーパーアプリ」構想をさらに推進していく。

業界全体でもトークン化株式や伝統資産を取り入れる動きが加速しており、コインベース(Coinbase)やクラーケン(Kraken)、バイビット(Bybit)なども独自の株式デリバティブやオンチェーン資産の提供を強化。暗号資産取引所と従来の証券ブローカーの境界線はいよいよ曖昧になりつつある。